第十七章 準決勝の戦い
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のだ。
源義経を助けるより、勝負を先に付ける方に動いていたのだ。
椎名京の失敗はまさにソコに会った。
初めから、葵冬馬を狙っていれば勝負はどうなるか分からなかった。
しかし、川神一子の仇を取る為に狙いを完全に松永久秀に絞ってしまっていたのだ。
また、椎名京が愛する直江大和。彼が松永燕と組んでおり、その回避能力を松永燕に認められて組んでいるとわかっていた。
一方で、松永久秀と葵冬馬の組み合わせは単なる数合わせと椎名京は考えていたのだ。
葵冬馬の持つ銃火器は注意を逸らす為の飾りであり、本選では戦わないと思っていたし、葵冬馬が一般レベルの実力しか持っていないことも知っていたので松永久秀に集中して戦えるという思考に陥ってしまっていたのだ。
用意周到に、まるで蜘蛛の糸に絡められる様に行動を縛られた。
それを理解した時、椎名京は薄ら寒いものを感じた。
……この人は危険だ。
女の直感がそう告げていた。
ワン子に対して酷い事をしたのも、葵冬馬に銃火器を持たせたのも、全ては伏線。
……私の目が良いのが悪く働いちゃったね。ごめん。ワン子、仇を取れなかった。
悔しさとやり切れない想いがあるが、それは川神百代に託そうと椎名京は思い、担架に乗せられた源義経の元へ向かった。
「決勝戦ですが、真に残念な事に、知性チームが棄権を致しましたので、優勝は智謀チームとなります!」
結局、燕ちゃんは直江大和君に家族同士の決闘はご法度だからという理由で棄権したのだ。
「それもそのはず。決勝戦対決は同じ名家の松永。妹である松永燕が兄の松永久秀に勝利を譲りました。そして、優勝の智謀チームからの申し出があり、今から10分後にエキシビジョンマッチを始めます! 観客の皆様をしらけさせない為の配慮だそうです。さあ、どのような試合になるか、楽しみです!」
優勝者インタビューを飛ばしてエキシビジョンマッチをお願いした。
興奮の熱が冷めない内のためと、川神百代が冷静さを取り戻さない内に戦う。
その結果観客からはブーイングも無く、エキシビジョンマッチに興味が向かっていた。
そして、川神百代が試合会場のリングに現れた。
「私がいると邪魔でしょう。どうぞ、2人きりで思う存分戦ってください」
「ああ、冬馬。ご苦労さん」
「いえ、私は何もしていませんよ。強いて言えば、特等席で試合を見れて良かったです」
「……」
俺と葵冬馬の会話に川神百代は入って来なかった。
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周到な準備
周到な罠
配点:(戦い方)
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