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夢は大きく
第三章

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 その彼にだ、社長は言った。
「おい、もう御前に任せる」
「俺に?」
「そうだ、この会社御前に任せる」
 どてらいを社長室に呼んで言った。
「そうするぞ」
「いや、俺はです」
「ああ、言ってたな」
「はい、俺は自分の会社を立ち上げてです」
 その大きな目をきらきらとさせての返事だった。
「その会社を世界一にしたいんです」
「だからか」
「はい、折角の申し出ですが」
 それでもというのだ。
「お断りさせてもらいます」
「そうか、じゃあ近いうちにか」
「独立します」
 どてらいはここで言った。
「そうしてです」
「その会社をか」
「世界一にしますから」
「御前なら出来る、じゃあ御前が独立したらな」
 社長は彼に笑ってこう言った。
「その時は仕事を頼めるか」
「この会社とですか」
「ああ、御前と一緒に仕事をしたらな」
「その仕事がですか」
「凄いことになるからな」
 これまでの彼がそうしてきた様にというのだ。
「だからな」
「俺の会社とですか」
「一緒に仕事をしたいがいいか」
「喜んで、ですよ」
 どてらいは左手を拳にして自分の胸をどん、と叩いて社長に応えた。
「その時は宜しくお願いします」
「こちらこそな、じゃあ独立する時は言ってくれ」
 つまり退社するその時はというのだ。
「是非な」
「その時は」
「そうだ、その時は壮大に送ってやる」
「俺が辞めることをですか」
「いや、御前の旅立ちをな」
 それをというのだ。
「世界一の企業を立ち上げるそれをな」
「送ってくれるんですか」
「その時を楽しみにしているからな」
 彼に笑顔で言うのだった、そしてこの日から暫くしてどてらいは独立し企業した、後に大阪二十六戦士にして世界一の企業グループ西コーポレーションの会長となる西どてらいの若き日のことである。


夢は大きく   完


                 2017・12・23
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