最終章:夢を追い続けて
第63話「いざ、決戦の時」
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着を着けるにふさわしい場所。…安心して。怪我をしないように落としたから」
「……桜さんか」
「その通り。……じゃあ、私達は、初めての姉妹喧嘩でもしようか!」
「姉さん……!!」
いつも通りのような、ふざけた口調。
しかし、箒にはもう“ふざけている”と思う事は出来なかった。
発せられる剣気が、束が本気だと語っていたからだ。
「ぁぁぁぁぁぁあああああああっ!?」
一方、落とされた秋十は、まるで滑るように下へと移動していた。
明らかに移動のための落とし穴だった事に、秋十はそこで気づく。
「っ!」
光が見え、秋十は体勢を整える。
若干投げ出される形で滑ってきた穴から出た秋十は上手く着地する。
「……ここは……」
そこは、何もない場所だった。
ドーム状に展開されたその空間は、ただ広いだけで、何もない。
白い床と、空を映しだす天井があるだけの空間だった。
通ってきた穴も閉じられており、そこはあまりにも殺風景だった。
「………桜さん」
「…この時を、待ちくたびれたよ」
そして、その中心に、桜は立っていた。
静かに立つ桜は、それでいて容易に近づけない程の“気”を放っていた。
「……今更聞く事はないだろう?」
「…はい。…俺は、貴方を止めるだけです」
「……いいだろう」
格納領域から、桜は一振りのブレードを取り出す。
その瞬間、重圧が秋十に襲い掛かった。
「っ…!!(これほど、とは…!剣を抜いただけで…!)」
「……」
だが、秋十もそれで屈する程、もう弱くはない。
同じくブレードを構えて、桜を見据える。
「……一つ、聞こう」
「…なんでしょうか?」
「秋十君、君の望みは何だい?」
「望み……」
「そう。望みだ。俺達のように宇宙を目指すのか、それとも……」
問われ、秋十は一考する。
……そして、数年前に自覚した望みを、今度は漠然とではなく、はっきりと言う。
「俺は、ただ自由に羽ばたきたい。誰に縛られる事もなく、才能にさえ縛られる事もなく。ただ自由に、どこまでも羽ばたきたい」
「……そうか」
それは、傲慢とも言える望みだろう。
だが、ただ“自由でありたい”と願う秋十には、そんなの関係なかった。
「なら、夢を追いかけるISを以って、それを為してみろ!」
「っ……!」
“ISを以って”と言うが、桜はそのままブレードを構えたままだ。
まずは様子見と言う事なのだろう。
そして、それを感じ取った秋十もまた、まだISは展開しなかった。
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