第3話 こんなボーイ・ミーツ・ガールは嫌だ
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さらに顔を真っ赤に染めて、抱きしめるように両腕で発育のいい胸を隠した。
「や、や、やっぱり! 変態君はやっぱり変態君だったのね!」
「だーかーら! 事故だって言ってるだろう! 勘弁してちょーだいよ! ゴロマルさんからもなんとか言ってくんない!?」
「あいにくじゃが、専門外じゃ」
素っ気ない返答に、龍太は頭を抱えてツーブロックの黒髪を掻きむしる。世間一般の目で見れば「中の下」と判断されるであろう彼の顔は、困惑と焦燥の色に染まりきっていた。
しかし、焦っているのは樋稟も同じである。
彼女の両親は着鎧甲冑を造り出した天才中の天才であるが、彼女自身もまた、十二歳で海外の大学を卒業する程の才女なのだ。
故にその才能を評価されていた彼女は昨年から両親の助手を務め、着鎧甲冑の開発計画を手伝っていた。そんな人生だったからか、彼女には同世代の友人がいない。箱入り娘であったために、男の子など以っての外だった。
そんな樋稟としては初めての「『同世代の男の子』との出会い」……だったのだが。いかんせん運が悪すぎた。
面識のない赤の他人である少年にいきなり裸を見られた彼女は、ひどく動転してしまってすっかり彼を警戒してしまっている。
龍太としても容姿故に女の子と絡んだ経験がほとんどないために、樋稟との出会い方やその後の展開には動揺するしかない……のだが、彼女の場合はそれを大きく凌いでいた。
「とにかく! 口外は絶対にしないこと! いいわね、変態君!」
「わかってるよ。あと、変態じゃないって!」
「いいえ、お父様は言ってたわ! 『心を通わせずに裸を見ようとする男共はみな変態だ』って!」
「じゃあ心を通わせるためにも俺の言い分を聞いてくれー!」
いくら説得しても変態呼ばわりを止めない樋稟に、頭を悩ませる龍太。
――その時だった。
「まったく……ん?」
ふと、彼はリビングのカーテンに不自然な人影がゆらめいていることに気づく。
首や手足がぎこちなくうごめく、そのシルエットに龍太はえもいわれぬ不気味さを感じた。
「なんだ……? ゴロマルさんと救芽井の他に、誰かいるのか」
「なに言ってるの? この家には私とおじいちゃんしかいな――」
そこまで言いかけた彼女が龍太の見ている方向に視線を移した時。
絶世の美少女は、焦燥に顔を引き攣らせた。
それはシルエットに気づいた稟吾郎丸も同じであり、状況が飲み込めない龍太だけが首を傾げていた。
「な、なんと……! まさか、こんなところまで挑発に来るとは!」
「くっ!」
樋稟は驚愕の言葉を漏らす稟吾郎丸を一瞥すると、眉を潜めながらカーテンを開けてシルエットの正体を暴いてしまう。
「う、うおわあっ!?」
その正体の異様
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