第3話 こんなボーイ・ミーツ・ガールは嫌だ
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
装着することもできる。
防火服の耐久力を超え、機動隊のシールドの硬度を凌ぐ。そして、あらゆる状況で迅速に装着できるこのボディスーツは、まさに人命救助という目的のために創出された存在だと言える。
そして、その第一号は「救済の先駆者」の名を与えられたのだった。
「はぁ……じゃあやっぱり、武器とか必殺技とかないんだな」
「あるわけないでしょ!」
「速射破壊銃とか」
「何に使うの!?」
「ロケットパンチとか」
「私の腕が吹っ飛ぶわよ!?」
「おっぱいミサイルとか!」
「――死にたいの?」
「――サーセン」
……しかし、その技術を救助活動のみに使うことを許さない者がいた。着鎧甲冑のテクノロジーの兵器転用を狙う者が現れたのだ。
その名は古我知剣一。かつて樋稟の両親と共に着鎧甲冑の開発に携わっていた青年科学者である。
彼は着鎧甲冑の技術を兵器として運用すれば、紛争が絶えない世界各地に救芽井家の技術力を知らしめることができると訴えた。
無論、着鎧甲冑の本来のコンセプトから外れたその意見は許されず、ほどなくして彼はクビになってしまった。
救芽井家の利益を視野に入れての発言であったにもかかわらず、開発計画から外されてしまった彼は「報復」を決意。
樋稟の両親を誘拐して松霧町に逃亡し、自らが開発した自律機動兵器を使っての「着鎧甲冑の技術奪取」を目論んだのだ。彼自身を司令塔とした、その機動兵器の集団は「技術の解放を望む者達」と樋稟達に呼ばれている。
その上、古我知は開発計画に参加していた頃から密かに入手していた、着鎧甲冑の設計図を元手に「呪詛の伝導者」を開発していた。「着鎧甲冑」の事実上の第二号にして、初の兵器転用を実現させた「凶器」である。
彼はそれを用いて、第一号の「救済の先駆者」を破壊して樋稟と稟吾郎丸を捕らえ、「『救芽井家』の生み出した『着鎧甲冑』の痕跡」を消し去り、自らが第一人者の座に取って代わるつもりなのだ。要するに、「『特許権』の奪取」である。
両親を誘拐された樋稟は稟吾郎丸と共に古我知を追い、住み慣れた研究所を離れて松霧町に身を置いた。かけがえのない家族を救い、守るべき人命を傷つけんとする「呪詛の伝導者」を処分するために。
◇
「……そのために、人命救助に勤しみつつ古我知って人を探してるってわけか。苦労してんなぁ」
「お、驚かないの? ていうか、あっさりと信じるのね……」
「まぁ、あんなものを直に見せられたら納得するしかないだろ。――それにさっきのアレで、もうビックリするのが飽きるくらいビックリしたしな」
敢えて目を逸らして、龍太はぽつりと呟く。その言葉の意味に感づいた樋稟は
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ