ペルソナ3
1916話
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何をしたというか……した事を覚えてないらしい」
「その、本当に……覚えてないんですか?」
ゆかりと俺の会話に割り込むように声を掛けてくる女。
だが、俺はそんな女の言葉に、頷きを返すしかない。
「残念ながら覚えてない。どこかで会ったか?」
「あー……うん、そうですか。覚えてませんか。……その、とにかく、以前助けて貰ったことがあるというのだけ覚えていてくれればいいですから」
がっかりとした様子を見せてそう告げてくる女に、俺は取りあえずという事で頷いておく。
まぁ、俺が覚えてなくても向こうが覚えているらしいし、それ以上は特に何かを言う必要もないだろう。……多分。
「まぁ、話は分かった。……で、改めて聞くけど、お前達はどういう関係なんだ?」
見たところ、有里はこの女と一緒に行動しているように思える。
であれば、もしかして付き合ってるのか? と思わないでもなかったが、有里と女の間に甘い空気の類はない。
「うん、僕と山岸の関係って何なんだろうね」
どうやらこの女は山岸というらしい。
そうして視線を向けると、山岸の方は自分が自己紹介していなかったことに気が付いたのだろう。
少し慌てた様子で口を開く。
「その、私は山岸風花といいます。よろしくお願いします」
「俺はアクセル・アルマーだ」
「私は岳羽ゆかり。よろしく」
「はい、岳羽さん達は凄く有名なカップルなので、知ってます」
「違うわよ」
もう否定するのも面倒になった……といった感じで、特に力を入れた様子もなくゆかりが否定する。
他の奴にしてみれば、こうして毎朝一緒に通学しているのを見ると、そう勘違いしてもおかしくないんだろうな。
だが、山岸はそんなゆかりの言葉に、驚きの表情を浮かべてこちらに視線を向けてくる。
「え? そうなんですか?」
「そうなるな」
がーん、と。
何故かそんな声が聞こえてきそうな様子でショックを受けている山岸。
いや、何でそこでお前がショックを受ける?
そんな疑問を抱いていると、有里が口を開く。
「とにかく、昨日はアルマーのおかげで助かったのは事実なんだ。昨日の様子を見ると、もう僕の前には現れないだろうし」
「……だろうな」
昨日の不良達は俺の事を知っていた。
そして俺が有里と知り合いなのも、昨日の一件で知った。
そうである以上、俺の知り合いの有里の前に再び姿を現すかどうか。
有里と考えながらそんな事を考えていると、ふと視線を感じた。
いや、視線という意味でなら、学校に向かっている今の俺達でも十分感じているのだが。
有里とゆかりはかなりの有名人だし、俺も何だかんだとそれなりに目立つ。
である以上、色々と視線を向けられるのは分かるのだが
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