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リリなのinボクらの太陽サーガ
防人のミステイク
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されても、正直対応に困る。今の彼女は純粋に倒すべき敵として見られるが、本来の彼女が戻ってしまえば、正直頭の中が狂うぐらい訳が分からなくなりそうだ。

狂うと言えば、イクスも妙なことを言っていたっけ。確か……月下美人の心が闇に落ちてしまったら、と。彼女はその辺りのことを何か知っているのだろうか?

『気になるようでしたら、過去の教訓としてお話しします。……心が暗黒に染まった月下美人は、見た目もそうですが、能力も性格もまるで別人のように変貌します。そして、並みのイモータルをはるかに凌ぐ災厄を世界に招いてしまいます』

……災厄?

『かつて……私には幼馴染がいました。次代ガレア王としてだけでなく、ただのイクスヴェリアとして接してくれた良き友が。殺伐としていたあの時代には不似合いなほどの慈愛をもっていた彼女は、こっちの世界の月光仔の血を引いていたこともあって、やがて月下美人へと昇華しました。しかし……それは彼女の運命が牙を剥いた瞬間でした』

運命……。

『月下美人として昇華した彼女は、人々に多くの救済を招きました。ですが、あの時代はそんな彼女の慈愛だけではどうしようもなかった。我らにも救いを、慈愛の施しを……そういって大勢の人が、彼女の救済を求めて殺到しました。人の身では到底叶えられない無数の願望……優しい彼女はそれでも必死に応えようとした、身を粉にして人々のために奔走した。私もガレアも出来得る限りの助力はしました、でも……救っても救っても、一人救えば十人から救いを求められ、十人救えば百人から求められ、百人救えば千人からと……そうして、彼女は段々壊れていった』

救世主でもないのに無数の人の願いを叶える生き方なんてしていたら、待っているのは破滅に決まっている。“正義の味方”なんて、実際は人の身に余る茨の道なのだから。

大体、人間は全ての他人に対して常に平等であることはできない。誰かの味方をするということは誰かの味方をしないことで、誰かの味方になるということは誰かの敵になること。正義の味方は、正義以外の味方を決してしないし、同時に正義以外の敵となる。

つまり正義とは、全てに対する裏切り者なんだ。正義を体現してしまった人間はどうやっても救えないし、何をしても救いようがないんだ。だってどれだけ取り繕おうとその人の理解者は絶対に現れることはない、永遠の孤独に苛まれるのだから。

『人々に救済を与えて来た彼女ですが、本当は彼女にこそ救済が必要だったのです。だから私は、王としてではなく一人の友として、彼女のことを誰も知らない場所に彼女を連れて行きました。もうこれ以上、彼女が壊れなくて済むように。ただのヒトとして、安らかに暮らせるように。ですが突然彼女がいなくなった結果、ベルカは更に荒れてしまい……しかもこの期を逃すまいと裏でポリ
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