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リリなのinボクらの太陽サーガ
防人のミステイク
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を握り、抱きしめるケイオス。私は……彼の胸で泣いた。

「嘘だよね……なんで……なんでマキナが死ななきゃならないの……! なんで……マキナがあんな奴に殺されなくちゃならないの……! なんで……また会うことすら許してくれないの……!」

「……」

偽りの夜闇の中、外で雨が降ってくる。雨音を背景に、慟哭に震える私達を涙の滴が濡らす。

「どうして……マキナは十分苦しんだのに……! 親も友達も記憶も故郷もたくさん……たくさん奪われて、その上命までだなんて……! そこまで失わなくちゃいけないことなんてしてないのに……!」

「ああ……そうだね。マキナはただ、ありのままの自分で生きようとしただけだ。憧れた暗黒の戦士と同じように、自分の生き方を示し続けていただけだ。彼女は決して、非難されるような真似はしていない」

「なのに……それなのにどうして……この世界はマキナが生きることを許してくれなかったの……! なんであんな奴は生きているのに、マキナは生きられなかったの! うぅ……アアァァァアアアアア!!!!」

私の叫びは雨音にかき消され、周囲には響かない。だがケイオスは私の悔しさや悲しさがかき混ざった感情を無言で全て受け止めた。

「(誰かを救えば、どこかで別の誰かが死ぬ。世界とは、プラスとマイナスの総量が常にイーブンになる下で成り立っているのかもしれない。もしそれが摂理なら……誰かにマイナスを押し付ければ、誰かにプラスを与えられる、とも言える。ならば……俺は……)」








「ひ〜濡れる〜! やばいやばい!」

あれから少しして落ち着いた頃、扉の外からシオンが急ぎ足で帰って来た。彼女はニーズホッグの兵器の残骸をいくつか持ってきており、要するにさっき口にしてたジャンクとはアレのことを言っていたらしい。

「おかえり、シオン」

「……おかえりなさい」

「二人ともただいま、適当にジャンクかき集めて来たよ。……ケイオス、シャロンの目元が赤いけど、大丈夫かい?」

「別にダメージは負わせていないよ、シオン」

「肉体的な意味じゃなくて、精神的な意味でだ。親しい者の死は、そう容易くは受け止められないからね。まぁ散々泣きはらしたんだろうけど、あえて深くは聞かないでおこうか」

「……。さっきから急に雨が降ってきて、異常に湿気が凄い。今朝の天気予報じゃ今週に雨天はなかったはずだけど?」

「天候を操作されていない、天然のままの天気ならばそうだったろうね。でも今はギジタイがミッドの天候を熱帯雨林気候にしているらしい。おまけに暗黒物質付きだ」

「道理で濡れただけなのに辛そうな表情をしてる訳だ」

「早めに切り上げたから私は大丈夫だったけど、今も戦闘中の仲間はマズいかもしれない。カーモス
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