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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第百三十五話 餓鬼その五

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「それでだからね」
「山を走ってるからですね」
「強いんだよ」 
 自転車部もだ。
「あそこも」
「山ですか」
「うん、まああの山はね」
 昨日の裕子さんと早百合さんの話をここで思い出した。
「色々な噂もあるけれど」
「妖怪が出るとか」
「牛女ね」
「私も聞いてます」
 牛女、この妖怪のことはというのだ。
「あそこにいると」
「うん、ただね」
「自転車部の方々はですね」
「遭遇していないんだ」
 気をつけてはいるけれどだ。
「まだね」
「そうなのですね」
「何か会って襲われるなとか」
 本当に自転車部ではそう話していた。
「話しているらしいよ」
「そうですか」
「うん、けれど今までね」
 その自転車部の面々はだ。
「まだ会っていないよ」
「一度もですね」
「会ったら速攻で逃げろってなってるそうだよ」
 言うまでもなく自転車を使ってだ。
「そうしてね」
「自転車はそういう時便利ですね」
「全力で逃げるのも練習だって」
「そう言ってですか」
「あそこで走ってるけれど」
 それでもだ、自転車部の面々は畑中さんとは違って。
「会ったことがないそうだよ」
「わかりました」
「他の妖怪にもね」
 あそこにいると言われているのは牛女だけじゃない、他にもいるのがあの場所だ。
「四つん婆とか」
「両手両足で走る」
「そう、お婆さんの妖怪ね」
「あの妖怪にもですか」
「会ったことがなかったらしいよ」
 自転車部がうちの学園に出来てもう何十年も経つらしいけれどだ。
「どうもね」
「そうですか」
「まあ妖怪って会おうと思えばね」
「会えないですね」
「うん、会えないよ」
 それでもだ。
「妖怪は会おうっていう相手からは身を隠すっていうから」
「だからですね」
「あの人達も会っていないんだろうね」
「自転車部の人達も」
「そう、牛女も四つん婆もね」
 どちらの妖怪もだ。
「そうだと思うよ」
「そうなのですね」
「妖怪はね」
 会おう、見ようという相手にはだ。
「姿を見せないらしいから」
「成程」
「うちの学園でもそうだしね」
 僕達が通っている八条学園でもだ、とにかく妖怪や幽霊の話はこれでもかとある学園だけれどだ。
「見たって人は偶然だよね」
「はい、誰も」
「そうだよね、見ようと思って見られないんだ」
「偶然ですね」
「そうそう会えないよ」
 会いたいと思って会える相手ではないからだ。
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