第百三十五話 餓鬼その四
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「確かあの人のお父さんも強かったね」
「勝小吉だな」
「その人も」
「無類の喧嘩好きで趣味は道場破りだった」
「そうした人で」
「とかく強かった」
とにかく天下無双の剣の腕前だったらしい、それと共に江戸きっての無頼者で誰彼なく喧嘩をして楽しんでいたらしい。
「その人もな」
「それであの人も直新陰流で」
「強かったという」
そうだったというのだ。
「恐ろしくな」
「それで畑中さんも強い」
そうだというのだ。
「間違いなくな」
「そうなんだね」
「私はあの人の様になりたい」
留美さんはまた畑中さんについて話した。
「何とかな」
「目標だね」
「そうだ、招来直新陰流を学びたい」
表情は硬く言葉の色は切実なものだった。
「是非な」
「それで畑中さんみたいにだね」
「剣の腕も人格もだ」
その双方でというのだ。
「至りたい、そして」
「そして?」
「人は永遠に進歩、進化するものだ」
こうも言うのだった。
「だからだ」
「超えたいんだね」
「畑中さんをな、遥か彼方の目標だが」
それでもというのだ。
「何時かはだ」
「超えてさらに素晴らしくなりたい」
「そう思っている」
「難しいにしても」
「難しいからこそ目標だ」
まさにそれだというのだ。
「一生かけてのな」
「一生なんだね」
「そう思っている、それではだ」
ここで留美さんの部屋の前に来た、そこで僕にまた言ってきた。
「またな」
「うん、またね」
「話をする機会があればな」
「お話しようね」
「そうしよう」
二人で話してだ、そのうえでだった。
僕は自分の部屋に戻って身支度をして少し経ってから部活に向かう為に八条荘を出た、するとだ。
円香さんが後ろからだ、僕に声をかけてきた。
「今からですか?」
「うん、学校に行くんだ」
僕は立ち止まって留美さんに顔を向けて答えた。
「今からね」
「そうですか」
「円香さんもだよね」
「はい」
その通りだとだ、円香さんは僕に微笑んで答えてくれた。
「そうです」
「合気道部の部活だね」
「もうすぐです終わりですが」
「夏休みの部活も」
「頑張っていくつもりです」
「そうなんだね」
「気合が入ります」
そうなっているというのだ。
「私も」
「クライマックスだから」
「最後だと思いますと」
「気合が入って」
「頑張ろうと思います」
「頑張ってね、そういえばね」
「そういえば?」
「何か最近ね」
部活中に見たものを思い出してだ、僕は円香さんに話した。その見たものは何かというと。
「自転車部も頑張ってるね」
「そうですね、何か」
「大会みたいだね」
「自転車部も全国区ですしね」
「いつも六甲まで走って」
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