第二部 英雄たちの策動
死線
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る」
凄く不機嫌そうな曹操が出てきた。え、なんで、どういうこと?なんでわざわざ曹操が来るの…?
「……援護をしようとしたらシトリー眷属に襲われて、何とか振り切ったら工場でグレモリー眷属に感知されて…そのまま、やり合った。戦闘の詳細は、あとで話すから、データの足しにしてくれれば…」
困惑しきりの私をじろりと眺め、グイッと腕を掴む。
「痛ッ……」
「無茶をした罰だ」
怪我をした方の腕をとられる。思わず呻くと、冷淡な曹操の声が返ってくる。
そりゃ、確かに無茶はしたけど……仕方なかったと思うんだよね。私だって、望んでやったわけじゃないんだから…。
「何をされた?」
「……気を纏った拳が掠って、腕をざっくりいかれた」
大きなダメージはそれくらいだろう。細かい傷となればもう数える気にもならないほどだ。あとは、スタミナの消費が非常に激しい。まあ、上級悪魔の眷属と二連戦でやり合ってこれだけで済んだのだから、そういう面では幸運……
ふわっとした一瞬の浮遊感に我に返る。曹操の腕が私の腰と、膝の後ろに当てられていて……
本で見たことがある、お姫様抱っこというやつだ。
「…こら、暴れるな。落ちてもいいのか」
「何もこの体勢じゃなくても……!」
「これが一番持ちやすいからな」
私の抗議を一刀両断して抱え上げる。抵抗しても下ろしてもらえないということは分かったので、曹操にこれ以上迷惑をかけないためにも暴れるのを止める。
そのまま、魔法陣の上に歩を進める、転移の光が私たちを飲み込んで―――目を開けると、曹操の部屋の前にいた。曹操が扉を開けると、中にはジークがいた。
「ああ、お帰り曹操―――って、文姫を迎えに行ってたのかい。文姫はボロボロじゃないか」
「シトリー、グレモリー両眷属とやり合ったらしい。全く、無茶をしてくれる。状況を聞いた限り、援護に行けなかったのはシトリー眷属を撒くためだろう。状況が状況だ。これについては全員に不問と通達しておこう」
「了解。不満は残るだろうけど仕方のないことだろうしね。むしろ、よく無事だったというべきだろうし。僕からみんなに伝えておくってことでいいかな?」
「ああ、頼む」
苦笑したジークが立ち上がって部屋を出ていく。曹操もその後に続き……ジークと別れて向かうのは、私の部屋……
「さて。何があったかを聞かせてもらうついでだ。君の行動について、俺も少々言いたいことがあるからな」
「……はぁい」
この後、しばらくの間説教されました。しばらくは外に出してもらえないみたいです。
まあ怪我が治るまでは何をする気もないけど……どうしようかな?
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