第二部 英雄たちの策動
死線
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……やはり、あの鎧は堅牢だったみたい。雷光のダメージにもしっかり耐えている。ただ救いなのは、痺れてすぐには動けそうにないってことくらいかな。
「……僕のせいで。ごめん、イッセー君。この借りは―――あの子を斬ることで返すから」
庇われていた木場祐斗が立ち上がる。その瞳は、怒りに燃えていた。
だけど。必要な時間はもう稼げた。装置を起動すると、魔法陣が私を中心に浮かび上がる。
さて、あとは逃げる算段を立てるだけだけど……雷光の巫女のほうは、赤龍帝を攻撃してしまったショックか呆然としている。猫又のほうは、こちらを何か窺っているようだけど―――?
「…ギャスパー!」
「はぃぃ!」
ハッとその声に顔をあげると、無数の蝙蝠が私の視界をふさぐ。
しまった、あの子はヴァンパイアでもあった!忘れていた自分のうかつさが腹立たしい。
とにかく、追い払うなりなんなりして視界を確保しないと…!
「……これで!」
視界を奪われた私に突き出されてくる小さな拳。咄嗟に頭を横に動かし、頬に掠ったくらいで済ませたが……
かくんっと力が抜ける。咄嗟に揺らぎかけた体を、慌てて戻す。
「しまった……仙術…!」
仙術によって気を纏うことで、体内を巡る気脈にまでダメージを与える一撃。その一撃はオーラを根本から折り、生命の流れを乱されてしまえば最悪、命すら落とすことになる――!
咄嗟に装置に手をかける。これ以上、引き際を見誤れば間違いなく自分は敗北することになる。
「逃がさないよ!」
転移装置を起動する寸前、神速で斬り込んでくる木場祐斗。先ほどまでなら躱すことはできただろうが、今の状態では…無理かもしれない。でもせめて…!
逃げるように起動スイッチを押しながら後ろに飛ぶ。だが避けきれず、聖魔剣が振り下ろされ……血飛沫が舞う。
「くうっ……!」
右腕を深々と斬られた私。思わず口からはうめき声が漏れる。
だが、転移魔方陣は無事に構築できたようだ。とりあえずここは退いて、曹操に報告しないと。
「……またね、グレモリー眷属」
転移魔方陣が輝きを強め、私の視界を埋め尽くした。
駒王町から離れた場所まで転移された。
のろのろとしか動かない体ですぐに携帯電話を取り出し、曹操に連絡を取る。
『――どうした』
「ごめん、手負った。誰か回収に回してくれると嬉しい。場所は―――」
『………ああ、分かった。少し待っていろ』
ぷつんと電話が切れる。とりあえず、止血しないと……このままいけば失血で意識を失う可能性もある。
勿体ないけど、服を破いてぐるぐる巻きにして止血に使う。これでしばらくの間は大丈夫なはず…
と、転移魔方陣の光が出現して――あ、意外と速かった…
「……何をしてい
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