第二部 英雄たちの策動
遭遇戦
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ではなく、肩を貫いてしまう。
崩れ落ちた姿すら確認せず、すぐに逃走に移る。複数の気配がこちらに近づいてきてる。流石に、多勢に無勢となると勝ち目はない―――
「巡先輩!」
「誰にやられました!?」
「元ちゃん、あっち!」
……残念。どうやら、見つかってしまったようだ。
何とか撒いて、襲撃グループと合流しないと―――。
屋根伝いに逃走しながら、集合場所である工場に向かおうとする。後ろと近くの路上にはシトリー眷属らしきメンバーが私を追跡していて、一筋縄では突破できそうもない。
「元士郎先輩!」
「おう!」
後ろでそんな声がしたかと思うと、何かが伸びてくる。これは、まさか……
そう思った時にはぴたりと私の体にラインがくっついていた。そして、グイッと引っ張られる感覚。
「―――ッ!!」
思いっきり引っ張られて引き寄せられる。向こうは悪魔の膂力もプラスしているのか、体重の軽い私くらいなら簡単に持ち上げられるようで。
咄嗟にオーラを纏った刀でラインを切り裂く。空中とはいえ自由を取り戻し、勢いのまま刀を一閃。
「きゃああっ!!」
「仁村!」
すれ違いざまにこちらを蹴ろうとしていた少女を斬る――――浅い。
歯噛みしながらもそのまま飛ばされ、二軒離れた家の前に落ちる。咄嗟に受け身をとったためダメージは免れることができた。
すぐさま移動し、できるだけ気配も完全に殺す。これで、追っ手のほうはとりあえず見失ったはずだ。
この間に工場まで行きたいところだが…さっき投げられたことで、想定していたルートから外れてしまった。
時計を見る。あ、もう襲撃が始まっているはずの時刻だ……となると、シトリー側にも情報が行っている可能性がある。最悪、工場までの道に眷属が配置されることも考えなければならない。
だったら、頭数を減らしておくべきかな……とりあえず、移動しないと。
足音も殺してそっと移動する。先ほど私を放り投げた元士郎と呼ばれていた悪魔の気配は少し遠ざかったが―――
「……困った」
やはり行先は工場だと気がつかれたのか。何人かの人影が、工場方面を警戒しているのが見えた。
こうなってしまえば、正面からの強行突破は無理に等しい。ならばどうするか。
―――仕方ない。ここは、一人ずつ確実に仕留めていこう。
そう考えながら、預かったものを起動する。これで、少しは楽できるといいんだけど…
ドサリ、とウェーブのかかった長髪の女の子が倒れる。さっき落とした戦車の子も合わせて、これでほとんどシトリー眷属は無力化したはず……
一秒でも早く工場に向かうため、殺すのではなく無力化にとどめる。最初から殺す気で行ったら、気がつかない間に殺気が漏れ出て感知されるかもしれない
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