第二部 英雄たちの策動
遭遇戦
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とりあえず町に潜り込んでいた。
確か、今日襲撃地点に選んだのは……町はずれに在った工場のはず。ゆっくりと、不自然にならないように注意を払いながらそっちに向かっていたのだが……
「――ついてない」
流石に刀を背負って歩き回るのは失敗だったようで……明らかに悪魔とわかる人に見つけられてしまった。本当についてない…つけられてる。
けど、向こうも刀を持っているんだけど……まあいいや。
「……邪魔をするなら。叩き潰す」
路地を曲がって相手の視線を一瞬振り切り―――その一瞬で抜刀する。
さて、久しぶりの悪魔との実戦。残念ながら、私はスタミナはある方ではないから、仕留めるなら一瞬が望ましい。
さて、あの悪魔はどの『駒』だろうか……多分、『騎士』だとは思うけれど。
フッと嫌な予感がする。その感覚のままに、一歩飛び退く。
ざっと空気を割く音と共に、さっきまで私の頭があった空間を白刃が薙ぐ。うん、予想外に速かったけど―――やはり、『騎士』かな。
「――避けられた!?」
「殺気があからさますぎ」
仕方ない。相手が相手だから、出し惜しみもできないね。
いつも通りに力を引き出す。蒼いオーラが刀身を覆ったのを確認して、一歩。次の一歩で、ギアを一気に引き上げる。
ギィィィイイイィィンッ!
咄嗟に反応した相手が刃を受け止める。打ち合わせた衝撃で甲高い金属音が響き、火花が視界を灼く。その一瞬、相手の顔が見えた。
「……ソーナ・シトリ―眷属の騎士。巡巴柄か」
資料にあったこの町を縄張りとする二人の上級悪魔のうち、現レヴィアタンの妹であるソーナ・シトリ―の眷属。
若手の悪魔の中では筆頭格の眷属。リハビリにはちょうどいい。
『騎士』の特性であるスピードを生かした高速の斬撃が私を襲う。それに呼吸を合わせるように体を揺らし、ギリギリのところで避ける。
―――残念だけど。私の『眼』なら、まだ見える。
「動きが読まれてるっ!?」
私の『眼』は動体視力が飛びぬけている。ただそれだけのものだけど。
生まれてから曹操に拾われるまで、ただひたすらに戦い続けた経験と、その眼が合わされば。膨大な経験から次の動きを「予測」することも可能だ。
その恩恵をフルに活用して、高速の剣舞をギリギリで避け続ける―――見えた。
僅かに刀の角度を変える。ギンッ!と衝突音と共に相手の刀が火花を散らし……わずかに傾けた刃に沿って、流れていく。
「なっ」
「―――終わり」
勢いを流されて大地に食い込む刃。その一瞬を縫うように、体のバネを使って刺突を打ち出―――
「ッ!!」
そうとしたところで新手の接近に気が付く。そのせいで、僅かにずれた刺突は心臓
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