第二部 英雄たちの策動
英雄派
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いた。
「…そっか。じゃあ、みんなの前では、それでいいよ」
「…どういうことだ?」
怪訝そうな顔をする曹操。残念だけど、私の真意は伝わらなかったみたいだ。
まあ、私のわがままで本気で困らせるわけにはいかないけど……一応、主張はしておくべきだよね。
「二人きりの時は、今までのままがいいな…って」
「………善処しよう」
◆◇◆◇
そんなやり取りがあったことを、この名前を改めて名乗るたびに思い出してしまう。
あまり名乗ることはしないけれど。この名前は、曹操がくれた二つ目の、形なき至宝だ。
そんなことを考えていると、視界の隅でレオナルドが起き上がったのが見えた。
「動ける?」
問いかけると確かなうなずきが返ってくる。
さて、ならばどうしようか。とりあえず曹操に知らせたほうがいいのだろうか―――
「入るぞ」
図ったようなタイミングで曹操の声がした。同時に、部屋のドアを開けて曹操が入ってくる。
―――うん、ちゃんと寝たみたい。少しは疲れの取れた顔になってる。
「曹操。ちょうど、目が覚めたところ」
「そうか。ならば、メンバーに引き合わせなくてはな」
そういった曹操がふと瞬きをする。
私のほうも、紹介をしようと口を開く―――
「…あぁ、そうだ。俺は」
「この人は曹操。“英雄派”のリーダーで、すごく頼りになる人だよ」
あ、タイミングが悪かったみたい。曹操の台詞を遮る形になっちゃった。
ごめんと視線に謝意を込めると、「気にしなくてもいい」と視線で応えがあった。よかった、怒ってなくて。
「文姫。すまないが、レオナルドにほかの連中を紹介してやってくれ」
「ん、分かった。幹部だけでいい?」
「ああ、君に任せる。俺は少し実験が残っているから、そちらにいる」
「何かあったら呼ぶね」
「ああ」
そう言って曹操はレオナルドに「無理はするな」と言い残して部屋を出ていく。
戸惑ったような顔のレオナルドに、私は微笑みを向ける。うまく笑えた自信はないけど……
「とりあえず、ほかの人を紹介するから」
少し開けた場所。レオナルドを連れてきたそこでは、構成員があちこちで自主トレーニングをしているのが見える。一部の人には器具がついているからデータの測定でもしているのかもしれない、ごくろうさま。
そう思いながら目当ての人物を探す。たぶん、この辺にいるはずだけど……
あまり時間もかからず、目当ての人物が見つかる。やっぱりあの白髪は目立って探しやすい……まあ、予想外の巨漢は一緒だったけど、いいや。
ちょうど休憩でもしているのくごく気配のない二人に近寄る。
「ジーク」
「ん、文姫かい……その子が、新しい?」
「うん。
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