第一部 出会い
流浪の二人 〜夏の出来事〜
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曹操も、一緒にまわって教えてほしい」
結局、腕まで捕えられた曹操が根負けし四織と一緒に祭を見て回ることになったのだが…
初めて「祭」というものを体験する四織にとっては、この場所は未知のものが多すぎた。
興味のある物を見つけると、半ば曹操を引きずってでも近くで見たがる。曹操にとってはいい迷惑である。その分、密着状態という特典(?)もあるわけだが。
「……あれ、何?」
「綿あめだ」
「…美味しいの?」
「知らないな。が、甘いらしい」
そう答えるとジーと曹操に視線を向ける四織。
その視線に気が付いた曹操が、大きく嘆息して離れて行った。
「ほら」
買ってきた綿あめを手渡してやる曹操。
四織はしばらく不思議そうに観察した後、ぱくりと食べる。
「……ふわふわ。あと、甘くて、おいしい」
「そうか」
満足そうな様子を見届けて歩き出そうとする曹操。その眼前に……
「はい、曹操も」
綿あめが付きつけられた。隣に視線を向ければ持っているものを突き出している少女がいて。
「俺は別に食べたいわけではないが」
「美味しいよ?だから曹操も」
「…………ああ、分かった分かった」
別に食べたいわけでもなく、しかも彼女が口を付けたところだ。
しかしこのまま食べなければ彼女は動かないだろうと思い至った曹操。観念して素直に食べる。
それを見た四織は満足そうに残りを食べだしたが……
(……俺は、何をしてるんだろうか………いや、待てそれ以前にこれ……考えるな、考えるんじゃない俺!こいつにそう言う意図はない……っ!)
それについていく曹操は平然とした風を装っていたが、内心大荒れだったのは本人だけの秘密である。
そんな早々に気が付かないまま、綿あめを頬張りながら上機嫌で祭を見ている四織。
ふと、その瞳に鮮やかな色が映った。
あらかた散策し終え、祭の会場を歩きながら今晩確保した宿に向かう。
宿へと向かう途中にも屋台が立ち並び、様々なものが売られているのが見え、祭の熱気がここまで伝わってくる。
途中で食糧も買い込み、飲み物を調達してきた曹操だが、ふと先ほどまで感じていた腕の重みがなくなっているのに気が付く。
「……どこに行った?」
流石にこんなにぎやかな場所で誘拐するようなことはしないだろう。だが万が一ということがある。
周囲を見渡し姿を探すがそれらしき姿はない。
「…世話の焼ける」
足早に元来た道を戻る。彼女の姿はわりにすぐに見つかった。
屋台の一つの前で、しゃがみ込んで何かを見ている。
「――何を見ているんだ?」
「あ、曹操……これ」
四織が指差したのは――――――風車だった。
色鮮やかに並んだそれらが、から
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