第五章 情報戦と橋渡し
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早朝、川神院での共同稽古。
川神院の修行法は根性論に尽きる。
無理を通して道理を飛ばす。
自らの限界の先に踏み込む為の根性論である。
修行僧達は、無敵と称される川神流を学ぶが、その敷居は高い。
入門したばかりの人間でもオリンピック選手並の身体能力を持つ人材が多いはずだが、その人間でも衝撃的なトレーニングである。
「いやはや、基礎鍛錬でもさすが川神院……」
「なんだ。久秀と燕は全然ケロッとしてるじゃないか」
川神百代が松永久秀と松永燕に賛辞を送る。
転校初日の歓迎稽古以来、川神百代は俺と燕ちゃんの事は呼び捨てである。
燕ちゃんは川神百代の事を百代ちゃん。俺は百代と呼んでいる。
同学年だし"今は"お友達だから。
「すごいね。アタシなんか、基礎慣れるまでに何回バケツのお世話になったことか……」
川神一子。
紆余曲折あって、川神百代の妹になった人物だ。
強いという印象よりも、小動物的な感じの元気な女の子と言うのが俺の印象値を占めている。
「でも今は新聞配達のアルバイトの後に鍛錬が出来る程に慣れている、と」
「松永先輩が何でアタシが新聞配達のアルバイトをしていることを知っているの?」
「直江大和君や、黛由紀江さんからメールで聞いた」
直江大和君。コマ目にメール返信してくれるので有難い。
黛由紀江さん。メールの文章が独特。松風の文章もメールに入っている事があるが気にしない。
「ふーん。燕先輩みたいに加圧式トレーニングも取り入れてみようかしら」
「正確には加圧みたいなもの、だけどね。私は効率重視だからぬるいかも」
「燕ちゃんは、効率好きだからね。おとん特製の機械だから貸出の際は言ってくれれば許可をもらうよ」
川神一子は、俺の事を松永先輩、燕ちゃんの事を燕先輩と呼称を分けていた。
まあ、どちらも松永先輩だから俺が名前で呼ばれないのは気にしない。
気にしないが、川神一子は川神百代の妹だ。
それなりに仲良くしておいて損はない。
「ありがとう。今度試してみるわ」
「ソコ。喋る元気があるならメニュー追加してあげるヨ」
「わぉ、ルー師範代って意外と厳しいんですね」
「期待の表れとしようぜ。燕ちゃん」
「この後、久秀は私と組み手稽古だ……! 今日こそは本気を出せよ」
「俺は本気だっつーの。何回言えば百代は覚えるんだろうね……」
あくまでも、稽古の本気である。
早くもフラストレーションを感じ始めているので、効果はある。
しかし、本気を出せとしつこいのがデメリットだ。
「むぅ、はぐらかすなよー。本気を出せよぅ。きっと面白くなる。主に私が!」
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川神学園との交渉の結果、来月から学食の納豆が松永納豆になった。
正規の値段より3割程値引きしたのが効いたの
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