第5章:幽世と魔導師
第138話「前世の因縁」
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から……それより、質問に答えてないのだけど…」
「あっ、ごめん…。えっと、式神に似た存在である、式姫の子から教えてもらったのだけど…」
「っ、式姫がいるの!?」
「わぁっ!?」
「あ、ごめんなさい……」
まさかのワードに今度は鈴が驚いてしまう。
「式姫の事も知ってるんだ……」
「……那美が成り行きとは言え戦い続けている理由がなんとなくわかったわ。事情をある程度知っていたのね…。いいわ、次は私の番ね」
なぜここまで知っているのか、那美も疑問に思った。
それを悟ってか、鈴は経緯を話すついでに身の上の事も話す事にした。
「さて、那美は何が聞きたいかしら?そこから答えていくわ」
「えっと……じゃあ、鵺との戦闘で気になったんだけど……鈴ちゃんは鵺と会った事があるの?あんなに感情を露わにするなんて、見た事がないよ…?」
「……そこからね。まぁ、話しやすくなるから助かるわ」
中途半端な部分からだと、中途半端な部分から話す羽目になるため、最初から話し出せるであろうその質問は鈴にとって都合が良かった。
「さて、いきなり根幹の話になるけど、まずは一つ。霊力が劇的に増える場合は、どんな時だと思う?」
「え、ええ?いきなり問題?……えっと……」
「答えは“死”を経験する事。例えば臨死体験をしたりね。だから、幽霊は軒並み霊力を持っていて力を振るってくるの。……そして、それが私を強くしている理由」
「え、と、つまり……?」
遠回しな言い方だったため、那美は頭に疑問符を浮かべる。
ちなみに、久遠は話について行けないと早々に諦めて周囲の警戒にあたっている。
「……私は、一度死んだ身なの。厳密には、一度死に、幽霊となり、そして生まれ変わったのよ」
「え、ええ……?」
「前世の名は草柳鈴。江戸時代、陰陽師をやっていたわ。ちなみに、容姿もあんまり変わらないわよ?」
「ちょ、ちょっと待って!いきなりすぎて整理が…!」
あまりの情報量に那美は混乱する。
「要は江戸時代の陰陽師の生まれ変わりなのよ。前世の記憶を持ったままの…ね」
「……そんな事、本当にあったんだ……」
「まぁね。私もどうしてこうなったのかは分からないけど。これが私の力の源って訳ね。前世での経験と、生まれ変わったという事実が、私をここまで強く見せてるの」
「なるほどぉ……」
合点がいったような、いかないような。
整理しきれていない頭で那美は漠然と理解した。
「…話を戻すわ。私が鵺と会った事があるかって話だけど……もちろん、会った事があるわ。それも、今回と同じく門の守護者としてね」
「じゃあ、さっき言ってた“その嘆きは私のもの”って
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