第5章:幽世と魔導師
第138話「前世の因縁」
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す。
いきなりのその行動に、那美は困惑する。
……そして。
―――“帰りたかった”
嘆きの呪いが、その言霊によって振り撒かれた。
「―――いい加減にしなさい」
「っ……鈴、ちゃん……?」
「くぅ……」
またあの言霊が来ると思って、身構えていた那美はふと気が付く。
いつまでも来ない言霊の力に。そして、鈴が障壁を張っていた事に。
「その嘆きは、私のものよ。勝手に振り撒くんじゃない!」
―――刻剣“聖紋印”
そして、鈴は聖属性の霊力を刀に纏わせ、再び駆け出した。
爪、尾の攻撃を体を捻る事で紙一重で躱し、そのまま脚の腱を斬った。
「……八重、技を借りるわよ」
―――“刀技・斬桜”
体勢を崩した鵺の首元へと鈴は跳躍する。
そして、桜が舞い散るように動き、連続で斬撃を浴びせる。
「……どうかしら?一度殺した相手に全てを上回られて負ける気持ちは?……って、もう聞こえていないし、聞こえていても理解できないか」
“チンッ”と刀を収めた鈴は、首の落ちた鵺に問いかけるように呟いた。
その顔は、どこか満足そうだった。
「鈴ちゃん!」
「那美、油断しちゃダメよ、全く…。私が気づいて来なかったら、鵺の言霊に呑まれていたわよ?」
「う……ごめん……」
「……まぁ、私もかつては同じような手口で殺されたのだけどね」
そういって鈴が思い出すのは、前世での自身の死因。
「さて、とりあえず門を封じてから……移動しながら、情報を共有するわよ」
「う、うん」
互いに、現状をどれほど知っているか知るために、情報を共有する。
「……完全に成り行きで戦ってたのね……」
「うん…。知り合いから、幽世の門が何かは少し聞いてたから、放置もできないし…」
「(……幽世の門を知っている知り合い?門について知っているのは、余程大きい退魔士の家系……それも上層部しか知らないんじゃ……?)」
那美が言った知り合いの存在に、鈴は引っかかった。
ちなみに、鈴は前世の記憶があるから知っているだけで、幽世の門について、現代の退魔士のどの層の人達が知っているのかは知らなかったりする。飽くまで予想の範疇だ。
「……那美、その知り合いって、何者?本来、幽世の門については余程の伝手がないと知りえないはずよ?」
「え……?幽世の門って、そんな機密情報だったの!?それに、鈴ちゃんって幽世の門について知ってたんだ!?」
聞き返してみると、驚いた返事が返ってきたため、ますます鈴は混乱する。
「…まぁ、私には事情がある
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