第5章:幽世と魔導師
第138話「前世の因縁」
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普通ではない感情が宿っていたからだ。
「……鈴ちゃん?」
「鵺……なるほど、通りで那美と久遠でもやられる訳ね……」
「っ!この妖を知ってるの!?しかも、鵺って…!」
努めて冷静を保ちながら、鈴は現状を分析する。
鵺の名に驚く那美も、その様子に押し黙る。
「そうだ、気を付けて!この妖、言霊みたいなので私達を……!」
「……ええ―――」
―――“届かなかった”
那美の言葉に頷いた鈴の不意を打つように、鵺の精神攻撃が迫る。
「―――知っているわ」
「っ、これって……」
「精神干渉を防ぐ障壁。まぁ、普段の障壁を応用しただけよ」
それを、鈴は片手を翳して張った障壁であっさりと防いだ。
「え……でも、そう言うのってどういった精神攻撃かよくわからないと無理なんじゃ……」
「……ええ。だから、知っていると言ったのよ」
「えっ……?」
精神攻撃が防がれたからと、鵺は直接襲い掛かってくる。
それに対し、鈴は斧を御札から取り出し、身体強化をして正面から受け止めた。
「…こいつの攻撃は、私が一番良く知っているわ!」
ギィイイン!!
「那美!久遠!援護をお願い」
「え、あ、うん!」
「っ……!やっ…!」
攻撃を逸らし、鈴は一喝するように指示を出す。
請け負った那美は後方に下がっていつでも術が使えるようにし、久遠も雷を放って距離を取るようにした。
「っ、はっ!」
振るわれる爪をひらりと避け、振り下ろした腕を斬りつける。
さらに鈴は、その勢いのまま懐へ入り込み、腹を斬る。
「(浅い……やっぱり、霊力を纏わせた程度じゃ、厳しいか……)」
しかし、その傷は浅いに留まり、飛び退いた鵺の霊術でその場を退かされる。
「くぅ!」
―――“雷”
「そこ!」
―――“神槍”
すかさず久遠が雷を放ち、それを避けた所へ那美が霊術を放つ。
どちらも躱されたが……。
「捕らえた!久遠!今だよ!」
「燃えて…!」
―――“紅焔”
事前に那美が仕掛けておいた拘束術に引っかかり、動きが止まる。
そこへ、久遠は間髪入れずに強力な炎を叩き込んだ。
「ォォオオオオオオオオオオン!!」
「っ、あれを耐えるの!?」
しかし、鵺は大きな咆哮を上げ、その際に放出した霊力で炎を吹き飛ばす。
久遠の霊術を耐えられた事に、那美は驚愕を隠せない。
「っ……!」
「鈴ちゃん!?そんないきなり突っ込んだら……!」
黙って突貫する鈴に、那美は思わず声を上げる。
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