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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第百三話 裏切りが勃発しました。
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分なものであったし、ローエングラム陣営もバイエルン候エーバルトを通じてであるが、彼から手ひどい損害を被っている。
 ただ、彼が私怨をもってこのような行為に及んだとはフィオーナには思えなかった。彼が何か大きな目的の為に、ラインハルトを排除してまで達しようとするほどの大きな目的があるのであれば、あるいは脅迫されてやむなくブラウンシュヴァイク公爵陣営に与していたというのであれば、一方的に処刑するのは不条理だという気がしていたのである。それに曲りなりにも彼は降伏を求めてきているのだ。少なくとも彼の言い分を聞かなくてはならない。ラインハルトもその事情を汲んで最終的にああいう決断を下したのだろう。
ベルンシュタイン中将という人間が一体どのような人物であるか、フィオーナはそれを知りたがっていた。もっとも直接に知っているのはかつてバーベッヒ侯爵討伐に赴いたアレーナくらいだろうが。
「・・・・ありがとう。二人とも。」
フィオーナはきちんと両手を前で合わせ、頭を下げた。

* * * * *
 ベルンシュタイン中将はかつて自分が座乗していた旗艦の一室に軟禁されていた。既にローエングラム側がこの戦艦を拿捕して捕虜を移しているので、ここにいる敵側の人間は彼一人だったのである。
フィオーナが部屋を開けて入ると、何やら書き物をしていた彼は顔を上げた。この時初めてフィオーナはベルンシュタイン中将の顔を見た。漆黒の黒髪に艶やかと言ってもいいほどの肌は若々しかったが、青く沈んだ瞳はそれまでに経験した辛酸をたたえているような暗い色をしていた。
「何の御用ですか?」
感情を表に出さない平板な声だった。
「一度話がしたいと思ってやってきました。・・・・それが済むまで待っていますから、続けてください。」
あぁ、と彼は紙片を見た。形のいい手を紙片の上に載せながら、
「これは妹に宛てた手紙です。丁度いい。送付前に見ていただいて差し支えありませんから、どうかこれを届けていただけませんか?」
ご自分でなさっては、と言う言葉をフィオーナは飲み込んだ。彼に待ち受ける運命を思うと、そのような言葉を掛けていいものか、判断がつかなかったからだ。
「わかりました。後ほどお渡し下されば、そのようにします。」
「ありがとうございます。」
中将は頭を下げた。3人は意外だった。これまでの彼の所業を考えてみると、もっとどこか平常ではない人間を想像していたからだ。彼は、少なくとも今は表向きは礼を失さない態度でいる。もっとも3人も長年の経験で人の表層的な性格と深層心理はかい離していることを知っているから、今の彼の印象にとらわれることはなかった。
「そこに立っていられると話もできません。座ってもらえますか?」
フィオーナはテーブルをはさんだ向かい側に腰を下ろした。ティアナとレイン・フェリル、そして
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