夜の涙とあの子と君(1/2)
[2]次話
ぼくは夜が好きじゃない。はっきり言ってしまうと、嫌いだ。
夜になると、静かで、暗くて……だから、もやもやと、色んな心の中の闇が、ぐわってあがってくる。
ぼくは何にもできなくて、臆病で、怖がりで……自分のダメな部分がどんどん出てくる。尽きずに。
隣のあの子を見ながら物思いにふけっていると、勝手に涙が流れて来る。ぼろぼろ、ぼろぼろ。
こんなぼくを見て、あの子はいつも言うんだ。
大丈夫?どうしたの?って。
ぼくが泣いてたらいつも言ってくれるんだ。でも、一番つらいのは、結局のところ、何が辛いのか分からないところだ。だからなんにも言えないのが、とっても申し訳ない。
あの子を心配させたくないから、ほんとは泣きたくないんだ。
でも、勝手に出てきてしまってとまらない。
ごめんね、ごめんね。
けれど、ぼくがなんにもいわないときも、いつも君は抱きしめて、背中をぽんぽん、ってしてくれる。そんなことされちゃうと、安心して、君に甘えちゃうじゃないか。
ぼろぼろ、ぽんぽん。ぽろぽろ、ぽんぽん。
ぽんぽんが何回か続いて、眠気がどっと押し寄せる。
ありがとう、ありがとう。
意識を手放して、夢も見ずに、いつのまにか朝が来て、あの子と冒険して、夜が来て、涙を流す生活を繰り返す。ぐるぐる、ぐるぐる。
そういえば、ぼくに夢なんてあったかなぁ。あの子と過ごせれば、夢なんていらないかもなぁ。
夜は嫌いだ。君を心配させちゃうから。
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