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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第97話 変わり身
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呼び戻すには......チャクラが

感覚が麻痺していく。消え入りそうな叫びに似たサソリのチャクラは燃え尽き掛けていき少しの風で消えてしまいそうだ。
どうシミュレーションしても望んだシナリオへは到達しない。戦況は悪化していきその間にゼツの力は凶悪さを増していく。
どう足掻いても勝てない相手が居る事にサソリは暗闇に堕ちてしまいそうになりながら必死に戦況を組み立てていた。

「......さん!サソリさん!!」
「!?」
いつの間にか合流していた湾内と泡浮、婚后が心配そうにビルを背中にしてもたれ掛かっているサソリを覗き込んでいた。
「気が付いたようですわ!良かったですわ......痛い所はありませんの?」
「......?」
「まだ体調が悪そうですわね。無理もありませんわ。たった一人で戦ってましたから」
「少し休んでいてくださいですの。その間にわたくし達が御守り致しますわ」
「はい!」
湾内が静かに風穴の空いた左鎖骨を痛ましく眺めながら努めて明るく振舞う。
抱きしめたい
支えてあげたい衝動を抑えて耐えていた。
ピンチになった時にいつも現れて助けてくれたヒーローはここには居ない。
ただみんなを助けたいと思う一人の人間がここに居るだけ、その時に恋人がするべき事は......

「行ってきますわ!」
「!!?ま、待て!」
悔し涙を流す湾内に呼応したようにサソリの写輪眼が反応し、頭の中で断片的な情報と今の状態が繋がりあい未来への道筋の光が見えた。
サソリはその道を捉え外さないように落ち着きながらも鬼気迫る声で湾内達に命令した。
「闇雲に行くな!暁の奴らを呼んで来い!」
「えっ!?御坂さん達をですか」
「全員だ!一人でも欠けたらまずい......口寄せの準備を始めてくれ!頼んだぞ」
「!!」
「は、はい!」
サソリの迫力に気圧されながらも初めて頼りにされた事が嬉しそうに全員と連絡を取り出し、近くでゼツと交戦している麦野達へは湾内と泡浮が向かい出来うる限りの事を始めた。
サソリはメンバーに支給している暁のバッチにチャクラを込めて招集を掛ける。

未来が微かに動き出した。絶望が支配していた未来から希望の未来に変える条件が読めてきたのだ。
「休んでいられんな」
サソリはゆっくりとフラつきながらも立ち上がるが護衛の為に残った婚后の肩に触れた。
するとピリッと電気が流れて砂の力が強まると同時にサソリの身体がバランスを崩して膝崩れをして支えた。
「だ、大丈夫ですの!?」
「そうか......貴方は風遁だったな」
少しだけだがサソリの分身体の結び付きが強くなると同時に婚后はサソリの赤い髪が少しだけ長くなり黒み掛かっているようになり、外套の隙間から歯車が軋む音が聴こえた。
「??貴方?」
「悪い、気にするな」
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