恋女房
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
『女子高校野球選手権大会決勝戦、UTX学園対音ノ木坂学院の戦いはいよいよ9回の表に突入しました!!両エースの激しい投げ合いによりここまでは2対1と初出場の音ノ木坂学院がリード!!9回のマウンドに上がった小泉はリードを守り抜くことができるのか!?』
最後の攻撃に願いを込めて声援を送る一塁側スタンド。それに負けないように三塁側スタンドにいる少女たちも両手を合わせ祈りを捧げる。
『9回の表、UTX学園の攻撃は、3番、ピッチャー、綺羅さん』
打席に入るのはここまで3三振のツバサ。その彼女の目に宿るのは復讐への炎。
(ここは普通のスプリットで行ってみてもいいかな?)
(うん。いいと思うよ)
ここまで使っていなかった通常のスプリット。バッテリーは1発で意見を示し合わせると、早速投球へと入る。
(高めにだけ行かないように・・・)
ピキッ
低めを意識して投じた初球。リリースの瞬間に花陽は痛み表情を歪める。
(よし!!いい低め!!ここから落ちる)
要求した通りの低め。ここから落ちることに備えて体勢を下げる穂乃果。しかし、ボールは予想の軌道に変化しない。
(え?落ちな―――)
カキーンッ
ホームベース上で目の前から白球がかき消された。これまでの大振りとは真逆のコンパクトなスイング。無理に引っ張りに行かず流しに行った打球は左中間へと伸びていく。
「そうはさせない!!」
長打コースと思われた打球。それに飛び付く金髪の少女。チームで一番の身長、さらには高い運動能力を駆使した絵里は、その打球をむしり取った。
「キャッチ!!キャッチ!!キャッチ!!」
大ファインプレーに沸き立つ球場。ようやくヒットを放ったかと思っていたツバサは一塁ベースの手前で立ち尽くしていた。
「もう!!なんでなの!?」
思わず声を荒らげた。高校生活最後になるかもしれない打席で会心の当たりを放ったのに、それを相手のファインプレーに阻まれた。自分の目標とする人物に近付くためのはずの戦いで、まざまざとその力の差を痛感させられた彼女は、涙を拭いながらベンチに帰ってくる。
「ツバサ・・・」
ガックリと肩を落としている仲間の姿に打席に向かうあんじゅは色々な感情が混ざり合っていた。
(ツバサさんを打ち取れたのは大きい!!あんじゅさんは最悪歩かせてもいいから際どいところを攻め続けるよ!!)
ツバサを絵里のファインプレーで乗り越えたことで怖い打者は残るはあんじゅだけ。彼女とは徹底的に勝負を避けても構わない。それぐらいの気持ちで攻めることができる。
(花陽ちゃんはたぶん挟むほど握力が残ってないのかも。でもストレートはまだ伸びがあるし、スライダーの構えたところに来る。ここはこの2つをとにかく低
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ