恋女房
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9回の表・・・しかも1アウト。まるであの時と同じ。勝利を目前に控えていたのにその希望は途絶え、投げられなくなったエースは絶望と共にマウンドから去るのね」
スタンドから全く同じ光景を目にした。これまでの好投を無に帰しただけでなく、二度と戻ることのできないマウンドに背を向けてベンチへと帰る憧れの存在の涙ぐむ姿。それと同じことが起きている今、彼女は涙を堪えることができない。
「花陽ちゃん・・・ごめん・・・」
「謝るのは花陽の方だよ、穂乃果ちゃん・・・」
ダブルスプリットを求めた穂乃果も涙が止まらない。彼女だけではない。リスクがあることはわかっていたのに止められなかった、その考えに至らなかった仲間たちもショックで立ち直れない。
「花陽。すまん。よく投げてくれた」
「剛さん・・・」
花陽を抱き締め声をかけると、剛は審判に選手の交代・・・いや、試合の棄権を申し出ようとする。これには観客たちも仕方ないと、立ち上がり最後の瞬間を見届けようとした。
「代えんじゃねぇよ!!剛!!」
呆気ない幕切れを迎えようとしたその時、バックネットを掴み球場全体に響き渡るような声を張り上げる1人の青年。
「孔明・・・」
その青年の姿を見た天才捕手は、目を見開き呆然としていた。
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