恋女房
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めに集めよう)
初球は様子見のスライダー。花陽はそれにうなずくと、セットポジションに入る。
「孔明さんならここは何から入りますか?」
「ぶつける」
「「え??」」
「ぶつけるまで行かずとも歩かせる」
150kmを裕に越えるストレートを投じる彼からそんな言葉が出てくるとは思わなかった。しかし、彼はグラウンドから目を離さずに真剣な表情をしていることから、それが本音であることがよくわかる。
「なんで勝負しないのかな?」コソッ
「後の人たちが当たってないから?」コソッ
亜里沙と雪穂が小声で話し合っている最中も試合は進行していく。まずは初球、外角低めにスライダーが外れる。これにあんじゅはピクリともせず見送った。
(見極められてるのかな?それとも狙い球が外れたとか?)
ここでナックルを挟んでみることにする。カウントが悪くなれば歩かせればいい。とにかく打者の目先を変えたい。
ストレートと同じような腕の振りで投じたナックル。放物線を描きながら揺れるような軌道で迫ってくる変化球。あんじゅはこれにも反応しない。コースは際どかったが審判の右腕が上がる。カウントを1つ戻して1ボール1ストライク。
(全然反応しない・・・これはもしかしてストレート待ち?)
そうとわかればストレートを見せてやる必要はない。ここは徹底的に変化球で交わす。
(スライダー。低いけどコースは甘い!!)
そう思いスライダーをストライクに入れた途端フルスイングでボールを打ち上げる。打球は高々と上がりスタンドへと吸い込まれるが、ライトのポールよりわずかに右に流れていた。
(引っ張りすぎたわね。でも、次は決めるわ)
(ウソ・・・ストレート狙いじゃないの?まさか狙われてた?)
カウント的には追い込んでいる。それなのに、彼女を打ち取るビジョンが思い浮かばない。
(ダブルスプリットを使いたいけど・・・使うなって言われてるし・・・)
高速スプリットもスプリットも落ちていかない。ナックルとスライダーでは打たれることは必須。ストレートもツバサの球を間近で見ているだけに怖い。
(ストレートを高めに。振ってくれればもうけもの)
ここまで来たらストライクはいらないと釣り球でまずは攻めてみる。それに対しここまで首を振ってこなかった花陽がうなずいてくれない。
(力負けした時が怖いもんね。なら低めにスライダーで空振りを・・・)
これにも彼女は頷いてくれない。続けてナックルのサインを出すがこれも頷いてくれない。
(どうしたの?2人とも)
(こんなに合わない2人見たことないよ)
(何揉めてるの?かよちん)
(ダブルスプリットで行けるじゃない、何を迷ってるの?)
剛と穂乃果のやり取りを知らない内野手たちはな
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