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チェロとお味噌汁と剣のための三重奏曲
9. あなたに気持ちを届けたくて
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なのだろうか……そうとすら思ったのだけれど。

「私は、あなたの気持ちが乗った素敵な曲が、とても好きです。何度でも何度でも、あなたの曲を……あなたの気持ちを、聴かせて下さい」
「……」
「その代わり私も、あなたに気持ちを届けます。あなたが褒めてくれた……あなたが美味しそうに飲んでくれるお味噌汁で、何度でも何度でも、あなたに気持ちを伝えます」
「……」
「それが……今日、智久さんが私に伝えてくれた気持ちへの、私のお返事です」

 それは、僕の勘違いだった。僕の気持ちを、鳳翔さんは受け入れてくれたみたいだ。その事実は、時間差で少しずつ、僕の心に、じんわりと染みこんでいった。

「ほ、鳳翔さん……」
「……はい」
「それって……僕の、き、気持ちを……」
「……」

 不意に、僕が今まで聞いたことのない『メキッ』という音が、僕の背後で、聞こえた気がした。

「「?」」

 鳳翔さんの頭の上に、はてなマークが浮かんだのが見える……もちろん、僕の頭の上にも浮かんでるだろう。今の音は何だ?

 ……でも、夕日に照らされた練習室で、鳳翔さんと二人、意思表示をしているという、とてもロマンチックな状況に再び呑まれた僕は、再度鳳翔さんと見つめ合い、お互いの意志を確認する。

「ほ、鳳翔さん……」
「はい」
「今の言葉って……僕の……」

 ……また『メシッ』て鳴った。しかもその後、『パラパラ』という軽い音と共に、天井から細かな埃が落ちてきてる気もする……。

「……」
「……タハハ」

 何かを悟った鳳翔さんが、とたんに苦笑いを浮かべ始めた。僕はゆっくりと後ろを振り向き、どうも様子がおかしい気がする天井を見上げた。

「……」
「……」
『……』

 ……気のせいか、天井から、人の気配を感じる気がする……。

 三度、天井から『メシッ』という音が聞こえた。パラパラという音とともに、天井の隙間から、埃も降ってきた。

 そしてそれ以上に……

『ば、バレてるんじゃないでしょうか……?』
『バカなっ……青葉に教わったとおりに隠れたぞ?』
『いや、でも……普賢院さん、ジッとこっちを見て……』
『た、助けてくれ……太陽……っ』
『コ、コワイカッ……』

 ポソポソとそんな声が、天井裏から聞こえてきている……さっきは演奏で必死になっていたから気付かなかったけれど……この声の主は……ッ!!!

「ロドニーさんですかッ!?」

 確信を得た僕が声を張り上げ、容疑者の名を叫んだその途端、天井がバリバリと崩れ、ホコリまみれの人物が三人と、小さい人影が2つ、天井から落っこちてきた。

「バカなッ!?」
「ひいッ!?」
「赤城も!?」
「ォオオッ!!?」
「コワイカッ!?」
「ちょ
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