第三十三話 野獣征伐その九
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「おいらはそう思うよ」
「俺もだよ」
言った本人もという返事だった、彼にしてもと。
「まあそこはな」
「強くなってだね」
「それからだな、しかしそんなお宝はな」
「そうした場所じゃないとなくて」
「しかも集めれば集める程な」
そして自分達が使えばというのだ。
「いいな」
「そうだね、じゃあ仲間もね」
「お宝もな」
「集めていこうか」
「両方な、まあお宝を集めるのは」
このことについさらに話した久志だった。
「魔神との戦い前でもいいな」
「優先順位はだね」
「ああ、それからでもいいな」
順一達と話したその順位をまた言うのだった、優先させるそれを。
「それは」
「じゃあ後回しだね」
「そっちもな」
「優先順位はここでも生きるね」
「話の優先順位は大事だからな」
どの物事を先にしていくか、このことはというのだ。
「本当にな」
「そこは気をつけてやっていって」
「ああ、今はここを登ろか」
「まだまだ先だよ」
「頂上まではか、これだとな」
登りつつだ、久志はこんなことも言った。
「頂上までまだまだ先だな」
「うん、先だよ」
「やっぱりそうか」
「まあ富士山よりはずっと低いから」
日本第一とされるこの山よりはというのだ、古くより霊山として知られ信仰の対象にもなっている山だ。
「安心してね」
「険しさもか」
「まだましだよ思うよ」
その富士山と比べればというのだ。
「流石にね」
「あの山はまた別らしいな」
「らしいって」
「登ったことはないんだよ」
久志は淳二にすぐに述べた。
「実はな」
「そうだったんだ」
「ああ、あの山はな」
「やっぱり関西にいるから」
「こっちで生まれ育ってるからな」
実際にというのだ。
「だからな」
「富士山に登る機会はなかったんだ」
「関東に親戚がいて新幹線の窓から見たぜ」
「見たことはあるんだ」
「ああ、けれどな」
「登ったことはだね」
「ないぜ」
それこそ一度もという返事だった。
「険しいって聞いていてもな」
「そうなんだね、まあかく言うおいらもね」
「ないのかよ」
「あっちの世界の富士山はね」
「こっちの世界のはあるのかよ」
「東の島に行ったこともあるから」
だからだというのだ。
「そうした意味で登ったことはあるよ」
「こっちの世界の話か」
「そうだよ、お宝を探すんじゃなくて冒険でね」
「それでか」
「あの山に登ったけれど」
「やっぱり険しいか」
「うん、あっちの世界と一緒でね」
自分達本来の世界の富士山と同じくというのだ。
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