第四十三話 コルベール現る
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残りたがったが、魔法学院へ戻らなければならなかった為、泣く泣く工房を後にした。
「ミスタ・コルベール。途中まで一緒に行かないか? 色々話したいことがある」
「畏まりました。僭越ながらお相手いたします」
マクシミリアンとコルベールは、新宮殿の門まで歩く事になった。
「ミスタ・コルベール。貴方と一度話がしたかった」
「恐縮でございます」
「何故、貴方ほどの人が、魔法学院の教師に甘んじているのか。ミスタ・コルベールが良かったらエリート街道への復帰の手続きをしてもいい」
マクシミリアンの人材センサーはビンビンに反応していて、彼を手放すつもりは無かったが、コルベールは首を横に振った。
「ありがたき申し出ですが、私はもう中央に戻るつもりはありません。無礼を承知で言わせてもらえば、もう自分の魔法で家や人々を焼くのはウンザリなんです」
「ダングルテールの一件の調べは付いている。だがあれは偽情報とはいえ命令で行った事なのだろう? 命令に基づいて行動した貴方が責任を感じる事はない」
「……」
「ロマリアと共謀したリッシュモンの責任であり。ミスタの責任じゃない。そもそも軍隊という所はそういうものでは?」
「……確かにその通りです。ですが私は自分自身を許すことが出来ないのです」
コルベールはそう言って目を瞑った。
「ふう……そうか、ミスタの人生だ、とやかく言わないさ。過去を振り返るのも悪くは無い。けどね、過去を振り返る事と過去に囚われる事はまったく別のじゃないかな?」
「殿下……」
「僕はなるべく未来を見たい。たまに過去を振り返って後悔する事もあるだろうけどね。もっとも、後悔しても止まることはないだろうけど。どうせなら僕に、王家に責任を擦り付けて楽になった方が良いよ」
話しているうちに二人は、門の所まで到着した。
「ミスタ・コルベール。貴方はダングルテールで一人の少女を救った事を覚えておいでか?」
「覚えています。彼女の事は故郷を燃やしてしまった事へのせめてもの罪滅ぼしでした。もっとも彼女は今でも恨んでいることでしょうが」
「その事だがな、彼女は恨んでいない。もっとも、当初は全方位に恨みを振りまいていたが、彼女は仇討ちを果たし新しい人生をスタートさせた」
「仇討ち……ですか。あの娘が」
「ミスタ・コルベール。貴方が責任を感じる必要は無い。正直言うと彼女を仇討ちへと誘導したのは僕さ、認めるよ。けどね、仇討ちを止めて延々と恨みを腹の中に飼い続けるより、スパッと仇討ちをさせて再スタートをさせたほうが良かったと思ったんだ」
そして最後にこう付け加えた。
「もし今後、リッシュモンの縁者を名乗る者が現れて、アニエス……その娘の名前ね。そのアニ
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