立食パーティー編-3-
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食べて来たリアにとって目の前に並べられた豪華絢爛な料理の数々は美味しくも何ともないのだろう。
ふぅ、ともう一度溜息ををつくとリアは、でも……と言葉をつづけた。
「でも……。彼の奏でるピアノの音色とともに食うと不思議と美味しく感じるな」
「……うん」
その答えにシレーナも静かに頷いた。
紫龍の奏でる演奏は確かに不思議な魔力めいたものを感じる。サブリミナル効果に近いもと言えばいいか。彼の演奏を聞いていると不思議と、ぽっかりと空いた心が満たされたような気分になり、今何か大きな買い物を吹っ掛けられれば二つ返事で買ってしまいそうだ。
ガバガバに開いた財布の口をキュッと閉め直す。
リアとシレーナのすぐ隣では……
「あっ、ランファ。僕の大トロ食べないでよっ!」
「モグモグ。へへっーん、早い者勝ちだもんねー」
大きな子供達が新鮮な魚介類が酢飯で握られた一口サイズの御飯の上にのせられた、寿司と呼ばれる料理を取り合いはしゃいでいた。
「そんな意地悪なこと言うんだったら、こうだよっ!」
「あぁーーー!! あたしのイクラちゃんがーー!!」
「んー、おいしい」
大きな子供達はお口を汚し、机の上は食べかすがぽろぽろと落ちて汚れている。
普段はランファの兄的ポジションをキープしている、ルシアだが彼もまだまだ子供だったというわけだ。初めて見る物に興奮し目を爛々と輝かせる、大きな子供だったというわけだ。
「素敵な演奏と残念な子供達……」
横目で隣の残念な子達を見つめ、リアは再びはあと大きな溜息を吐いた。だがその後、小声で「ま、楽しいからいいんだけどね」と言っていた事は誰も知れない事実。
用意された料理をあらかた食べつくした頃だったか。かなり腹が膨れもう今日は何も食べたくないと思った頃だったか。
ふと何気なく会場の外へ出て行く人影が見えたのは。
「あれは……ルシアのボディーガードの奴」
こそこそと辺りにいる人の目を気にするように、慎重で不自然な動きをしながら会場の外へ出てゆくムラクモ。
彼女の職業は主を護るボディーガード。ボディーガードなのに護るべき主から無断で離れて良いのかとツッコミを入れるのはもう止めた。
そんな些細な疑問よりも、もっと気になる重要なことがあるからだ。
「俺、ちょっとお手洗いに行ってくるわ」
「へ? あ、うん……いってらっしゃい?」
急に言われて意味がよくわからなかったが取り敢えず返事をしておく。
お手洗いに行くと言ったリアは会場内にもあるにかかわらず、あえて止める従業員を制して会場の外へと出て行った。
リアが会場の外へ出て行くの見送ると
「にっひひ〜」
薄気味悪い笑い方をし始めたランファ。その顔に
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