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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第66話『安心』
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緋翼の冷静なツッコミが刺さった。

現在一行は村を出て、繁華街に向かっている。何でも近くに大規模なのが在るらしい。この感覚は、結月の家から王都に行った時と似ている。


「・・・あの、"繁華街"って何ですか?」

「簡単な話、人が集まる所だ。ウチの村って人が少ないように見えるだろ? 実は夜になると、村人の多くはそこに集まるんだ」


結月の問いにカズマは淡々と答えていく。
事実、村を訪れた時は人が少なかった。(まば)らには見られたものの、随分と過疎だと感想を抱いたものだ。


「はぁ。魔王…か」


繁華街トークをする彼らと違い、晴登は一人ため息をつく。
さっきは流れに身を任せていたが、こうして考えてみるととんでもない事になってしまった。自分たちの役目は責任重大。敗北は許されないのだ。
命を賭けるのは、もう懲り懲りだというのに。






「そら、着いたぞ」

「「うぉぉ…!!」」


これは予想を遥かに上回った。
眼前に拡がるのは、夜であるにも拘らず、派手な装飾のおかげで昼の様な明るさを保っている繁華街である。王都にも及ぶ程の人でごった返しており、さっきの閑静な村が嘘のようだ。


「さてさて、来たのは良いものの・・・何する?」


着いて早々、カズマが困ったように言う。
確かに、婆やは休息として行くように言った訳だが、どのように休息するかまでは言っていない。そもそも繁華街で休息できるものなのか。


「まぁ…適当に居酒屋でも寄るか」

「未成年ですけど」

「じゃあ何処行くよ?」

「う……」


そう言われてしまうと、言い返しようがない。繁華街についてはカズマの方が詳しいだろうし。
ここは引き下がるしかなかった。


「よし、決まりだな。安心しろ、俺のオススメの店に連れてってやるから」


グッと親指を立てるカズマには申し訳ないが、安心できる要素は無い。






「やっほー」

「よう兄ちゃん。今日は随分と多い連れだな」

「色々あってな。いつもの頼むわ」

「はいよ」


着いたのは小ぶりな居酒屋だった。晴登たちが入った時には客は誰も居らず、坊主の店主だけが椅子でくつろいでいる。彼は晴登達を見るなり、座敷に案内してくれた。
十人もの人数で座って、その窮屈さに晴登が息をついた頃、カズマは酒を頼んだ。店主とのやり取りを見るに、カズマは常連だろう。


「お前らも一杯どうだ?」

「いやだから未成年ですって」

「いいっていいって。ちょっとだけなら」

「その言い方はどうかと──」

「ヘいお待ち!」ドドン

「えぇ…」


カズマに反論している間に、酒が人
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