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真田十勇士
巻ノ百十六 明かされる陰謀その八
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「天下の誰でもな」
「大久保家は伊達家と結び謀反を企んでいた」
「少将殿を担ぎな」
「このこともあの処断の理由ですが」
「それだけで一族全てがあそこまで処断はされぬ」
「ご老中殿だけでしたな」
「まだな」
 大久保長安、既に死していた彼に極めて思い処断を下し後は軽くで済んだというのである。
「それで済んだのだが」
「しかしですな」
「切支丹まで関わっておった」
「伴天連と手を結んだので」
「ああなったのじゃ」
「本朝の中では収まらぬ故に」
「南蛮の者達まで引き込んで介入させる様な所業となるからじゃ」
 大久保長安がしようとしていたことはというのだ。
「おそらくご老中だけがご存知でな」
「大久保家の他の方々はご存知でなかった」
「一族の方も重臣もな」
「それではご老中だけで済みましたが」
 死んでいたがそれでも断を下してというのだ。
「伊達家も証拠を消していたので」
「少将殿もご存知なくな」
「あの方だけとなっていましたが」
「そうでなくなったのはな」
「やはりですな」
「切支丹じゃ、幕府が切支丹を恐れるのも道理」
 昌幸は言い切った。
「まさにな」
「本朝を乗っ取ろうとしている者も多いので」
「当然のことじゃ、しかしその当然のことをわからぬで切支丹に近付けば」
「誰であろうとも」
「許さぬ」
「それが幕府の考えですな」
「大抵の者はこれでわかったわ」
 天下の、というのだ。
「皆な、しかしな」
「わかっておらぬ者もおる」
「そしてそれはな」
「茶々様ですか」
「あの方はな」
 昌幸は難しい顔で幸村に話した。
「どうしてもな」
「政のことは」
「何もご存知ない」
 茶々の政への疎さを語るのだった。
「だからじゃ」
「切支丹のこともですか」
「わかっておられずな」
「何をするかわかりませぬか」
「そこが問題じゃ」
「それが只の女御であり抑える者がいれば」
「よいがな」
 大抵の家はそうだ、それに政に口を出す女房もそうはいない。秀忠の正室であるお江もそれは同じだ。
「大坂はな」
「実質茶々様が主であられ」
「そしてじゃ」
 まさにというのだ。
「誰も止められぬ」
「政は何も知らぬしわからぬあの方が」
「だから切支丹もな」
「過ちを犯すこともですか」
「充分に有り得る」
 そうだというのだ。
「これがな」
「だからですな」
「うむ、厄介なことじゃ」
 大坂にとってというのだ。
「そしてそれ次第でな」
「遂にですか」
「戦も有り得る」
 幕府と豊臣家の、というのだ。
「実際にな」
「それでは」
「わし等も出るやも知れぬ」
「この九度山から」
「大坂に馳せ参じよう、だが」
 ここでだ、昌幸は難しい顔になり言った。

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