狐野郎、再来ス
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「つまりは、だ。ここにいるサラトガが正式に配属されれば万事解決という訳だ」
そう言いながら壬生森が取り出したのは、1枚の紙切れ。そこには『辞令』と書かれている。早い話が、この場でサラトガをウチの所属にしてしまおうという事だ。
「オイオイいいのかよ、国家レベルの横領犯になるなんざ俺ぁ御免だぜ?」
「この件に関しては日米両政府も納得しており、新たなサラトガのマスターシップも日本への輸送が確約されている。何の問題もない。……それとも、いつまでも彼女をジェーン・ドゥのままにしておく気かね?」
「おぉ怖、どんな手使って国を脅迫したんだ?性悪狐」
「ふん、その前にアメリカを恐喝した化け狸には言われたくないな」
ジェーン・ドゥ。それはアメリカでいう所の『名無しの権兵衛』と同様の物で、その女性バージョンだ。しかしどちらかというと身元不明の死体に用いられる事が多く、生きている人間の場合はジェーン・スミスと呼ぶ場合が多い。つまり壬生森は記録上は死んだ(轟沈した)事になったままにしておくつもりか?と皮肉たっぷりに聞いてきたってワケだ。
「き、狐と狸が化かし合いしてますわ……」
「化かし合い?バカ試合の間違いでしょ」
辛辣な叢雲と熊野の発言をスルーしつつ、俺は書類を受け取って手早くサインを済ませる。判子を出すのが面倒だったのでその場で指を少し切り、血判を押し付ける。
「うし、これで正式にウチの所属だ。これからよろしくな、サラ」
「…………はいっ!」
嬉し涙なのか、目に涙を浮かべていたサラトガは満面の笑みを俺に見せてくれた。
「さて、仕事は終わりだ。ここからは純粋に客として楽しませて貰おう」
「さっきまでしこたま楽しんでたろが」
「まぁ、固いことを言うな。私の現役復帰のお祝いとでも思って、付き合ってくれたまえ」
「へいへい、分かりましたよセンパイ。……ところでセンパイよぉ、ケッコンはまだなのかい?」
俺が異種返しだ、とばかりに然り気無く爆弾を放り込む。その一撃で壬生森はフリーズし、同行者の2人は盛大に噎せ返った。
「まさか、まだ選んで無かったのか?」
「一度はケッコンした相手を喪った男だ、慎重になるのも当然だろう」
「ヘタレ」
「何とでも言え」
「早くしねぇと枯れちまうぞ?ま、その点俺は心配ねぇがな!」
ガッハッハ、と笑ってみせる。事実、心配した明石が毎年調べてはいるが全く異常無し。むしろ、
『毎日あれだけ搾り取られてて、何で元気なんですか!』
とキレられた。解せぬ。
「あの、枯れるとか枯れないとか何の話ですの?」
「あん?そりゃお前せーー」
「言わせないわよ!?」
脳内が
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