狐野郎、再来ス
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欲しいと思ったらその場で口説く……どうだい?そっちの熊野にゃ断られたが、叢雲さんはウチに移籍する気はないかい?」
「そうねぇ……悪くないわ」
正直、この食いしん坊の叢雲なら食い付くんじゃないかと少し思っていたのは秘密だ。
「おいおい、穏やかじゃないな」
「って、そんな話をしてたんじゃねぇやな。内務省の役人としての仕事ってのはなんだい?」
「フム……その話をするには、そちらのお嬢さんにも話を聞かなくてはな」
壬生森が視線を送ったカウンターの端。そこには、美味しそうにビールを煽るサラトガの姿があった。
「Foo!やっぱりtrainingの後のbeerは日本の方がいいわね!……ん、サラに何か用ですか?」
最初は他所から借りてきた猫のように大人しかったサラトガだったが、ウチの空母連中や飲兵衛軍団に捕まり、毎晩飲み歩いていたらこうなってしまった。心から『どうしてこうなった……』と言いたい。
「まぁ、彼女の性格の変化は置いておくとして。何故本土でも実装されていないハズの米空母・サラトガがこの鎮守府には居るのかね?」
「さて、何の事やら」
目の前に実物がいるのにすっとぼける。どう見ても見苦しさ全開だが、知ったことか。
「大体、あのサラトガはトラック泊地から救出してそのまま預かってるだけだぞ?所属はまだアメリカ海軍だ……いずれはアメリカに返還する予定だ」
俺の発言にえっ!?と驚いた顔になり、みるみる内に泣きそうな顔になるサラトガ。『サラ、ここにいたらご迷惑ですか?』とデカデカと顔に書いてある。勿論そんな事は無いし、返還する気も無いのだが。
「ほぅ?では一緒に救出したアメリカ海軍の将校も居るハズだが……見当たらんな」
「そりゃあ奴さん等は帰国したさ。ただ、サラトガ本人が帰国を拒否しててなぁ」
これは紛れもない事実だ。アメリカの将校達は怪我や体調不良が改善してすぐに送り返しておいた。その際、『サラトガを頼む』と一番年配の将校に涙ながらに頼まれてしまったのは内緒だったりする。
「サラトガ本人はこの鎮守府への配属を希望している、と?」
壬生森の確認するような言葉に、ブンブンと頷くサラトガ。ビールしこたま飲んで頭シェイクしたら具合悪くなるから止めなさい、と言ってやりたい。
「らしいなぁ」
というより、救出した翌日から猛烈なアプローチを受け続けていたりするのだが。この鎮守府のルールも説明済みで、ケッコンすればそういう関係になれると聞いてからはハードな訓練を自分に課している。所属すらしていない艦娘からのアプローチに関して嫁達は、
「もう今更だし……ねぇ?」
と、諦めているのかいつもの事だと思っているのか実に微妙なコメントで了承している。
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