鳥籠のお姫様
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と血の跡で少し汚れてしまったドレス……ええ、特に問題はないようね。
「……どんなに着飾ったって元が化け物であることは関係ないのだから」
ぽつりと吐いた独り言は自分でも驚く程に暗く冷たいものだったわ……。
ムジルに行って来るわ。と、伝えて彼の綺麗なさえずりを聞きながら部屋を後にした。婆やには服装の事で色々文句を言われたけど、そんんな事一々気にしないわ。だって婆やとの喧嘩なんて、顔を合わせればいつもやっていることなのですもの。
今回のお見合い相手はドバイの貴族様ですって。まあ……玉の輿かしら? なんてつまらない冗談を言うのはやめましょう。
言ったも通り顔面兵器、身体も手術だらけでボロボロ、もうあまり永くは生きられないと医者から匙が投げられてしまった、可愛そうなお姫様。
彼女の両親は、跡継ぎが産めないのなら有益な組織との癒着するための贄となれ、王族・貴族誰でもいいから政略結婚をしろとのことらしいわ。
血のつながらない育ての親だからこそ言える台詞なのね。きっと。
辺境の古城に住む、クレオパトラをも嫉妬させるような絶世の美女。
絶世の美女と言われたら誰だって食いつくわ。だって人間という生き物は馬鹿な人ばかりだから。
そんな人この世界の何処を探したっていないのに、いるのは退屈に殺された化け物だけなのに……今日も騙された馬鹿とお見合いをするの。
でも化け物と結婚してくれって言われて誰が結婚するかしら?
「化け物!!! ひゃああああああああああ!! 助けてくれ! 金はいくらでも払うから、命だけはっ! 僕様の命だけは助けてくれぇえええええ!!」
結果はいつもわかりきっている事。向かい合い顔を上げた瞬間、鼻たれ貴族のお坊ちゃまは腰を抜かして逃げてしまわれるの。
そして家には口封じや色々とね、黒いお金が従者を使わして持って来させるのよ。前に見たのはいくらだったかしら。百万が一つの束になったものでピラミッドが建てられていたわ。
――本当につまらない世界。つまらない人達ね。
本日のお仕事は終了。さあ、醜い化け物は全てが白い何もない牢獄へ閉じ込めてしまいましょう。大丈夫、話し合いてに鳥を入れておけば化け物は何も言い返さない。さあ、入った、入った。
自分の部屋に入る時にいつも流れる音楽。ちょっとした退屈しのぎにはなるのかもしれないわね。
いつものように罵られ、お見合い相手からお断りされて、大金が持ち寄られ、化け物は牢獄に囚われ、帰って来た化け物を青い鳥が出迎え――
「…………」
る、はずなのよ。いつもだったらね。
「ひ、姫様! ムジルが、ムジルの姿が何処にもありません!!」
「ああ、そんな大きな声で叫ばないで。がらんとなった鳥籠を見れば誰だってすぐにわかるわよ
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