先取点
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押し切ることが最善とあんじゅはサインを送る。ツバサはそれにうなずくと、1つ息をついてからセットに入る。
(内角にちょうだい。打っても飛ばないだろうしね)
(とにかくストレートに的を絞る!!何がなんでも打ってやるんだから)
無失点で切り抜けたいあんじゅとがむしゃらに食らいつこうとすることり。自分のことで手一杯のエースの手から放たれたストレート。見えたと思った瞬間にことりはバットを振り出し始める。
カキーンッ
「え?」
「あら?」
「は?」
「ウソッ!?」
136kmのストレート。今までのスイングでは到底捉えられるものではない。だが、ことりのバットは確かに快音を残し、ツバサは目をぱちくり、あんじゅはマスクを脱ぎ捨て立ち尽くし、西村、剛の両指揮官はベンチから飛び出し打球の行方を見守る。
『高々と打ち上げられた打球!!ぐんぐん伸びる!!伸びる!!』
「やばい!!ユキ!!バックアップ急げ!!」
打球が向かっているのは脳震盪で捕手からライトに回っている英玲奈。彼女は向かってきたボールを追いかけようと走る。西村からの指示を受けたセンターの鈴木もフェンスに向かって走っていくが、次第にその足を緩め、やがて止まった。
2人の外野手がフェンスの手前で立ち止まり打球の行方を見送ると、ボールはフェンスの向こう側へと消えていった。
『入ったぁ!!音ノ木坂学院先制!!南、今大会初のホームランは価千金の先制ツーランホームラン!!』
「ふぇ?」
何が起きたのかわからず打席でいまだに唖然としている。審判から促されようやく走り出すが、それでも実感がないのかイマイチ反応が良くない。
「ことりちゃん!!」
ダイヤモンドを一周し終えると真っ先に次打者の花陽が飛び付いてくる。
「え!?は・・・花陽ちゃん!!」
「ナイスバッティング!!すごかったよ!!あのホームラン!!」
嬉しそうな表情で抱き付いている少女の顔を見て背筋がゾクゾクした。審判に注意されて離れてベンチに戻ると、選手総出で迎え入れる。
「すごいよことりちゃん!!」
「ことり!!見事な放物線でしたよ!!」
幼馴染み2人の表情を見てますます背中がゾクゾクしてくる。今まで感じたことがないような感覚に、気持ちが妙に高まってくる。
「みんな!!まだまだ点数取るよ!!花陽ちゃんを楽に投げさせてあげよう!!」
「「「「「よし!!」」」」」
その言葉に音ノ木坂のベンチはさらに熱を帯びていく。一方、これまでの好投を無に帰した小さなエースはガックリと膝に手を付いていた。
「ツバサ・・・」
顔を上げられない少女の元にやって来たあんじゅ。彼女は新たにもらってきたボールを握り締めら顔を俯かせていた。
「ごめんあんじゅ・・・私がわがま
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