第四章
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「特にね」
「好きでも嫌いでもないのね」
「うん、特に」
「じゃあ。よかったらね」
正代は聡のその言葉を聞いてこう言ってきた。
「コスモス好きになってくれる?」
「コスモスを?」
「そう、そうしてくれる?」
「ううん、そうだね」
聡は正代の言葉に少し考えてから答えた。
「それじゃあ好きになろうかな」
「そうしてくれるのね」
「花は嫌いじゃないし」
だからだというのだ。
「それに何かね」
「何かって?」
「こうして見ていると」
そのコスモスを見ながらの言葉だった。
「落ち着いてくるし。それにささやかな気持ちになるね」
「コスモスってそうよね」
「うん。今気付いたよ」
こう正代に言う。
「コスモスってそういう花なんだね」
「そうなの。だから私もコスモス好きなの」
「落ち着いてささやかな気持ちになれるから」
「ささやかな幸せかしら」
正代は微笑んで聡に述べた。
「そういうのが感じられるからね」
「だからだね。それじゃあ」
「それじゃあ?」
「暫く。いや、明日も」
聡は正代に自分からこう言った。
「コスモス見ていいかな」
「誰も止めないわ」
正代はその聡に微笑みながら話す。
「私もね」
「じゃあこうしてね」
「ええ。見ましょう」
正代は微笑んだままだった。そして聡も。
この日もそれからもコスモスを見た。それは一人ではなかった。
聡がコスモスを見る時にはいつも正代がいた。それは校内のコスモスだけでなく学校の外でも同じだった。
正代は聡にコスモスがあると聞くとこう誘ってきた。
「駅前の公園にね」
「コスモス咲いてるんだ」
「うん、今朝見つけたの」
こう彼に話す。
「どう?今日の放課後ね」
「そうだね。それじゃあ放課後にね」
「行こう」
正代の誘いに乗ってその日の放課後にその公園のコスモスも見ることにした。その彼にクラスメイト達は言う。
「何かいい感じじゃないの?」
「最近二人よく一緒にいるよね」
「何か仲いいけれど」
「交際してるとか?」
「そういうのじゃないけれどね」
聡は彼等の問いにはこう返した。
「確かによくコスモスを一緒に見るけれどね」
「コスモスねえ」
「あの花?」
「あの花を見てるんだ」
「何か気に入ったんだよ」
それで見ているというのだ。
「よくね」
「そうか。けれどな」
「何か正代ちゃんまた転校するらしいけれど」
女の子の一人がこう言ったその瞬間に思わず声をあげた聡だった、瞬時にそうなってしまった。
「えっ、それ本当!?」
「うん、何かそんな話聞いたけれ
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