EX回:第40話(改2)<解放>
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も受けて悟った世界は多い」
「……」
黙った私に構わず参謀は続ける。
「あの寛代もそうだ。人の生命力の神秘というものは限りが無い。人は不可能な現実や現状に甘んじ留まるべきではないのだ」
何かを諭されたようだ。
「ハッ」
思わず私は腰掛けたまま背筋を伸ばして敬礼をした。
「私だって偉そうな立場には居るが日々葛藤だ」
彼女は前を向いた。
「半分人間の血を受けて、それが増した。実に厄介だな人間と言うものは」
(これは独り言なのだろうか?)
私は考えてしまった。
「だが」
参謀は、こちらを向いて話しかけてきた。
しかし私の様子を見て直ぐに呆れた。
「おい、変に硬くなるなと言っただろう!」
「はっ、恐縮です」
「本当に進歩がないな、お前は……」
彼女の表情が少し緩んだ。
「まあ良い。それもお前の個性だ」
再び真顔になり表情が険しくなる参謀。
「だが司令、お前の立場は決して一人だけのものではない」
「はい」
彼女は機内を見回した。
「指揮官という立場には多くの人間や艦娘が連なる。それをもっと実感できるよう努力しろ。それもまた司令の重要なシゴトのうちだ」
「はぁ……」
「だから情けない顔をするな!」
いきなり叱責されてビックリした。周りの艦娘たちも驚いてこっちを見ている。
ただ赤城さんも黒髪が空中で大爆発しているのだが本人は真顔で煎餅を食べ続けていた。
参謀は艦娘たちの反応を見て再び表情を緩め肩をすくめた。
「まったく単純過ぎる。いや逆に考え過ぎか? お前は……」
「はっ、気を付けます」
実は『恐縮です』と言いかけて止めた。また怒られそうだったから(笑)
「まぁ、良い」
彼女は座席で大きく手を伸ばしてから頭の後ろに手を組んだ。
まだ変な空間にいるにも拘らず余裕綽々だ……きっと参謀には脱出できる確信があるのだろう。その姿勢には何か安心感すら漂ってくる。さすがだ。
それを見て私も正面を向いた。
あのブルネイの大将にも人格的に大きなものを感じた。同じように彼女もまた単にその位置に居るわけじゃないのだと思った。
すると改めて思い出したように口を開く参謀。
「本省の青年将校が居ただろう」
「はぁ」
「あいつもお前を買っているんだ……我々の期待を裏切るなよ」」
その言葉に私はハッとした。
(いきなり言われた感じだが……)
そして窓の外が突然、明るくなった。いつの間にか雷鳴は消え機体の振動も急に収まっていた。
「嵐から脱出したようです!」
「助かったのか?」
機内から艦娘たちの歓声が上がる。副長も思わず握り拳を突き上げていた。
前の席から寛代が振り返って私を見ていたが、その顔は珍しく笑顔だ
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