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チェロとお味噌汁と剣のための三重奏曲
7. あなたの声が聞きたくて(後)
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だけは断言する。あのシュールなお日様は、本当の意味で、太陽のように眩しく輝いていた……ッ!!

「……さて、普賢院智久」
「……」

 赤城さんはすでに黙々と室内にモップをかけはじめた。ソラールさんはお日様マークが入った赤と白のカラフルなスマホでどこかに連絡を取り始めている。妖精さんは雑巾がけをしはじめ、二世さんは、布巾でパイプ椅子を磨き始めた。室内が慌ただしくなってきた……

 そんな中ロドニーさんが、僕の目の前に立ち、ジッと僕を見つめた。

「舞台は我々が整える……鳳翔は必ず来る……」
「……」
「彼女は、お前が味噌汁をウマそうに飲む、その姿が好きだ……」
「……」
「そして、お前のチェロを待っている」
「……ッ!」
「ここで退くか……それとも、幸運の女神の前髪をふん掴むかは、お前次第だ」

―― そんな素敵な智久さんのチェロ、私も聞いてみたいです

 僕の記憶の中の鳳翔さんが、ふんわりと微笑んだ。あの時、僕と鳳翔さんの間にだけ吹いた、涼しく心地いい風が再び吹き、心の中の鳳翔さんの前髪とポニーテールを、優しく揺らした。

「……やります」
「……」
「今日、鳳翔さんに……僕のチェロを、聞いてもらいますッ!!!」

 緊張で震える右手を左手で押さえつけ……僕は、彼女への気持ちを、チェロに乗せる決意をした。

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