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俺の四畳半が最近安らげない件
交換留学生の体質
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何かが張り付いて逆流してきた。たまらず咳き込みながらえずいていると、ぼこっと喉を押し広げるようにして、何かが口の中に這い上ってきた。それは舌を押し退け、俺の唇をこじ開けると『ぞるん』と床に零れた。
「うえぇっ…吐いた吐い…ぎゃああああ!!!」
「あ、カプカプカ。うーっす」
床に広がった青いスライム状の交換留学生は、フシャラスの挨拶にもごもごと答えながら、瓶の中に這い戻っていった。



カプカプカの星には、飲酒という習慣はないらしい。
それは彼らがアルコールを分解する機能を持っていないからだ。意外だったのだが、これは宇宙でも珍しい特性らしい。だが分解できないからといって、彼らが所謂『酩酊』の状態を楽しいと思わないわけでもなく、どうしても呑みたい時には特殊な手段を用いてアルコールを分解する。その手段というのが。


アルコールを分解できる生命体の内部に入り込み、分解を手伝ってもらうことなのだ。


その生命体の胃の中でアルコールを含んだ体液を放ち、キレイな体液を取り込む。終わったら胃から食道、口の中へと這い上る。その一連の作業に5時間はかかるそうだ。だがそれがこの種族の特性だから仕方がない……
「……ってなるか馬鹿野郎!!」
瓶に戻ってくつろいでいるカプカプカを怒鳴りつけた。瓶の中身がびくっとなり、なに、なに?みたいに波打つ。
「あのな、地球人は胃の中に勝手に入られるのをすっごく嫌うの!!許可があっても入られるのは基本的には嫌なの!!しかも君はさ、液体だろ!?瓶がからっぽになってて俺がどれだけ焦ったか分かる!?」
「あほねー」
「フシャラスは黙ってろ!!」
『――呑みたい夜もある――』
「だから事前に云って!?何かいい方法考えるから!!」
姿かたちも常識も違う、交換留学生達とのやりとりは、いつもこのように度肝を抜かれる。
ていうか液体はもう星から出るなよ怖いから。


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