5. あなたのもとに駆けつけたくて(後)
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ら、風は吹いていないのに、鳳翔さんのポニーテールが、少しだけ、揺れた気がした。
鳳翔さんにありがとうを告げた後、カッブを両手でそっと受け取る。カップが熱い。中を覗くと、お豆腐とわかめのシンブルなお味噌汁。
「……では、いただきます」
「はい。どうぞ」
笑顔の鳳翔さんに見つめられながら、僕は静かに、カップのお味噌汁をすすった。
「ふーっ……ふーっ……」
「……」
「ずずっ……」
「……」
「……」
「……」
「……ほっ」
途端に、心地いいため息がこぼれた。試合の疲れやたんこぶの痛み、残り続けた試合の気迫、好きな人が隣りにいる緊張……何もかもが、心地いいため息と共に、僕の身体から出て行った。
「おいしい……」
「……」
「……ほんとに、美味しいです」
「……」
「鳳翔さん、ありがとうございます」
語彙力のない僕は、こんな風にしか言うことが出来なかったけれど、僕の言葉を聞いた鳳翔さんは……
「……よかったです」
ほっぺたを赤く染め、はにかんだような、でもとても優しい笑顔を浮かべていた。
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