0253話『平和的な薬の副作用(終幕)』
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も大事な提督に変わりはないのです!》
「でも、それじゃどうすればいいの!? 私はもう消えるしかないんだよ! いつまでもこのままだったらきっと私の事を気遣ってくれていたみんなも困っちゃう……迷惑をかけちゃう……それは嫌なの! とっても嫌なのぉ……」
提督は癇癪を起したかのように胸の内を暴露しました。
あぁ……こういう時に限って泣いている提督の事を抱きしめてあげられない自身が本当に憎く感じてしまいます。
そんな時でした。
「―――それではこの鎮守府であなたがいたって事の証を残しませんか……?」
「誰……?」
《青葉さん……?》
物陰の方から青葉さんが歩いてきました。
まさか……。
《青葉さん、まさか先程までの私達のやり取りを……》
「はい。榛名さん、すみません。聞かせてもらっていました」
青葉さんはどう言いながらも提督の目線に合わせてしゃがんで数枚の写真を見せてきました。
「これは……?」
「これはあなたがこの数日間で鎮守府で過ごしたメモリーの数々です。私達はあなたの事を決して忘れません。アルバムにしてしっかりと残しておきます」
敢えて盗撮写真とは言わない辺り、青葉さんも悪い人ですね。
でも、今は少しだけ感謝しないといけません。
「だからとは言いませんが……明石さんのところに戻りましょう? 皆さんも心配しています。そして最後には盛大にお別れをしましょう」
「やっぱり、別れなくちゃいけないよね……」
「はい。冷たいようですが今のままでは提督はおろか私達の存在も上層部の方々に気づかれたら処分対象にされてしまいかねません。ですから覚悟を決めてお薬を飲みましょうね?」
「……わかった」
青葉さんの言い分に納得したのか提督は青葉さんの手を取りながらいまだに聞こえてくる皆さんの方へと歩いていきました。
そして、
「提督ー! とっても心配したかもー!」
秋津洲さんが泣きながら提督の事を抱きしめていました。
他のみなさんも提督が見つかって安堵したのか涙を流しています。
そして提督は明石さんのところへと向かい、
「明石お姉ちゃん、お薬飲むね?」
「……いいのですか? 青葉さんから聞きましたが自分という存在が消えてしまうかもしれないんですよ?」
「うん。でも大丈夫……みんなの中に少しでも私が残ってくれるんならそれだけで嬉しいから」
「提督……」
それで一緒に聞いていた鳳翔さん達も涙を流していました。
「提督……この二日間はとてもかけがいのないものになりました。だから、またいつか一緒に遊びましょうね」
「うん。鳳翔さん!」
もう叶わない事だと分かっていても提督は笑みを浮かべながらそう返答していました。
それでもう鳳翔さんは限界だった
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