0252話『平和的な薬の副作用(その3)』
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
し表情が暗い朝潮さんが歩いてきました。今度はどうされたのでしょうか……?
「……あ、司令官」
《あ、朝潮さん? どうされました? 表情が優れないようですが……》
「いえ、大丈夫です……この朝潮、特に問題はありません……」
そう言う朝潮さんですけどやはり空元気のように見えてしまいますね。
ですけど、提督はそれでなにかを感じ取ったのか、
「朝潮お姉ちゃん、ちょっと付いてきて……?」
「え? あの、司令官……?」
「何事かも……?」
提督の突然の行動に私達は不思議に思いながらも提督の行きたい場所へと連れていかれました。
その場所とは提督の私室でした。
「どうしたのですか司令官……?」
「うん……なぜかわからないけど、ここに朝潮お姉ちゃんのためのものが置いてあると思ったんだ」
まさか、提督はあれを覚えていて……?
それはまだこの状態になる前に購入しておいた朝潮さんのための……。
提督はまるで覚えているかのように私室の中へと入っていってピンポイントに戸棚を探り始めました。そして、
「……あった」
「司令官、それは!」
そこには綺麗にラッピングされていて『朝潮へ』と書かれているプレゼントが入っていました。
そうでした、昨日は朝潮さんの進水日でしたね。
「はい! 朝潮お姉ちゃん!」
「あ、ありがとうございます。で、でも……どうして司令官がこれを……?」
「うん……。よくわからないけど朝潮お姉ちゃんの顔を見たら急にこれを渡さないといけないって気持ちになったの」
「ッッッ! 司令官!!」
「わっ……」
朝潮さんが感極まったのか涙を流しながら提督を抱きしめていました。
「提督、とっても偉いかも……」
《そうですね。提督は忘れていても私達の進水日の事を覚えていたのですね……》
提督は記憶を失っていても私達の事を大事にしてくれているという事を再認識させてくれました。
とても嬉しい気持ちが溢れてきます。
それから朝潮さんはとてもいい笑顔を浮かべながらも「私はどこまでも司令官についていきます!」と言って嬉しそうにしていました。
その後に朝潮さんとも別れて今度はどこに行こうかという感じでいましたが、
「あ、提督。ここにいましたか」
《明石さん……? どうしました? というか隈がすごいですね……》
「あはは……。ちょっと責任を感じていまして夕張ちゃんや妖精さん達と一緒に開発を頑張っていました……その成果もあってついに解毒薬が完成しました!」
そう言った明石さんですけど、提督は少し泣きそうな顔をしながら、
「やっ!!」
「あ、提督ー!?」
秋津洲さんの手を急に振り切って逃げ出してしまいました。
《て、提督! どうされたのですか!?》
「…………ッ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ