ep14 アフリカタワーにて
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
やがて上空が翳り始めたことに気づき、俺はサブモニターで確認する。
「あれは……軌道エレベーターの外壁?」
そう呟いた途端、外部からの有志界通信が目の前に表示された。髪の長い見知らぬ女性が口を開く。
『軌道エレベーター周辺にいる、全MSへ通信を行なっています。落下してくる軌道エレベーターのピラーを破壊して下さい。その下は、人口密集区域です』
途端、ガンダムが攻撃を止めた。彼らは人口密集区域に向かってくるピラーだけを確実に破壊していく。
一方、俺たちには何の指示も降りなかった。上意下達の軍において、勝手な行動は許されない。動きたくても動けない今、俺は流星群のように降るピラーを見つめるだけだった。
そのとき、機体の腕が誰かに掴まれ、大きく揺さぶられた。隊長だ。
『油断するな!お前、今ピラーにぶつかってたぞ!』
そのピラーはスキップによって粉々にされた。それと同時に、友軍機やカタロン、クーデター派がピラーの破壊に動き出した。
『俺たちもやるぞ』
「了解」
隊長の声にそう答え、俺は落下してくるピラーにトライデント・ストライカーの銃口を向けた。その近くでは、今まで殺し合っていた敵が同じ動作をしている。ガンダムが近接戦闘可能の距離にいるのを見て、腹が重たくなった。
不思議な感覚だった。軌道エレベーターが崩壊して人命がかかっている中で、ここにいる皆が1つにまとまっている。敵も味方も関係ない状況は奇妙でこそあれど、嫌なものではなかった。
オートパージできなかった大型の破片が迫ってくる。それを各群とガンダムで破壊した。その落下物を避けきれず、オーバーフラッグの左腕がもげる。
『大丈夫か?』
「ああ。まだ戦える」
ピラーの落下が終わる気配はない。被害を食い止めるためなら、何だってやれる。そんな気がした。俺は瞬きすら忘れる勢いでトリガーを引き続けた。
終
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ