ep14 アフリカタワーにて
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軌道エレベーター『アフリカタワー』地上部周辺
地上から宇宙へと延びる1本の高建築物を、多くのMSが囲っている。俺もまたその一部だった。
反政府勢力が起こしたクーデターにより、軌道エレベーター『アフリカタワー』は外部に掌握された。その目的は連邦議会の解散と連邦軍に拘束された反政府勢力の人間の解放だ。
乗機のオーバーフラッグのメインモニターが周囲を捉えている。連邦正規軍はエレベーターを完全に包囲している。クーデター派が何か行動を起こせばすぐに対処できる戦力だ。
「この時代にクーデターとは、ずいぶん不満が溜まっているんだな」
地球連邦による軍備統一化と独立治安維持部隊の反政府勢力掃討活動。これだけ世界が1つにまとまるための漸進がされているにも関わらず、反乱分子は浮上する。
「世界の進行に、黙ってついてくれば良いだけだろうに」
そんな愚痴が思わず溢れる。そのとき、全部隊に発信された指示が届いた。
「移動命令……。この密集体形はなんだ?」
正規軍のMS部隊が1ヶ所に集中する動きだった。同部隊のスキップが俺と隊長にだけ聞こえる通信を送ってくる。
『これ、どういう意味ですかね?人口密集区域の真上なんて』
隊長がスキップの疑問を一蹴する。
『分からん。何しろ上は俺たちを駒にしか見ていないからな。本音を俺たちには吐き出さないさ』
『事実、駒ですからね』
俺は彼らの会話に加わることなく、状況に集中した。何かしらの意図が働いているのは俺だって気づいている。それでも俺たちは一介の兵士に過ぎないのだ。できることには前もって限界が決められている。
そのとき、エレベーターのピラーからMSが飛び出してきた。カタロンのMSたちだ。
やがてカタロン部隊は友軍機による攻撃で戦闘不能にされていく。彼らもまた応戦を始め、戦闘が場当たり的に開始した。
そこで、スキップの慌てた声が聞こえる。
『各機、後方より敵影!ガンダムです!』
その瞬間、近くにいたユニオンフラッグがビーム粒子に貫かれ大破した。俺は機体を強引に操作して左に飛んだ。すると、数秒前までいた場所に同じビームがびゅんと打ち込まれる。急な回避運動で生じた加速Gで身体が悲鳴を上げた。
モニターが3機のガンダムを捉えていた。彼らは次々とMSを撃墜していく。その姿はまるで5年前の武力介入を彷彿とさせる動きだった。
動き続けないと死ぬ。本気でそう感じた。ただでさえ、こちらは旧式のMSを使っている。勝ち目はないに等しい。
ピピッ、と警報が鳴った。右後ろを見ると、砲門をいくつも抱えた重装ガンダムがこちらを捉えていた。
だが、ガンダムはビーム粒子を砲門に溜めたまま動きを止めた。
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