暁 〜小説投稿サイト〜
世界をめぐる、銀白の翼
第七章 C.D.の計略
男はネイティブ
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
けて寄りかかっている屋上。
そこに、缶コーヒーを持って天道がやってきた。

加賀美の言う見張りとは、彼らのビルの道を挟んで反対側にあるマンションのことを言っている。
紙切れに書かれていた住所は間違いなくあそこだった。と、なればあの数字は部屋番号。

加賀美は一晩中、その部屋を見張っていたのだ。




「あそこに付いたのが二時半。それからこっちに来て見張り始めてほぼ4時間・・・・お前はその間何してたんだよ」

「出来る限りの情報収集だ。おばあちゃんが言っていた。何事もまず、知ることから始まる、ってな」

「ふ〜ん。で、何かわかったのか?」

「住居者は一名。名前は幡鎌 人(はたかま じん)。職業はルポライターだそうだ」

「・・・・・それだけ?」

「それだけしか調べられなかった」

「なるほど」

情報の少なさに、加賀美はあまり文句を言わなかった。
この男が調べてこれだけしか出てこなかったというのなら、本当にそれだけなのだろう。

逆に、この男をしてそれしか出てこなかったというのが、加賀美には不気味に思えた。

と、そこで思いつく

「調べ・・・あっ!お前マンガ喫茶あたりに入ったな!?一人だけ暖かい思いしやがって!!」

「まあ待て加賀美。だからお土産に缶コーヒーを持ってきたろう」

「お前なァ・・・・」

「ちなみに俺は自分で炊いたコーヒーしか飲まん」

「自分の持ってきてないのはそういうことか。殊勝な態度だと思った俺がバカだった」


親しい間柄だからこその、少しキツめの漫才をしてからどうするかを今度こそ真面目に話し合う。

とはいえ、打開策などある筈もなく


「とりあえず行ってみるか」

「それしかないな」

加賀美のその一言がきっかけで、行くことにした。
一度部屋の前までは行ったものの、中から気配はなく無人であることは確認済み。

それからずっと加賀美が見ていたから、中はまだ無人のはずだ。



いまどきのマンションは、オートロックが当たり前。
最初に来た時と同じように、フェンスを軽く越えて中に侵入。階段を上がっていき、五階へ。

その階の六号室の前に来て、中の気配を探る。
それからコンコンと扉をたたくと、帰ってくる無音で中の様子を確認した。


「いるか?」

「いや、やっぱりいないな」

答えた加賀美が、御免なさいと小声で謝りながら、ドアノブに手をかけた。
呼び出しに応えて空間を飛び越えてやってくるゼクターの力を利用して、中から鍵を開けてもらう寸法だ。


そして、それを呼び出そうとした瞬間



『何者だ?』

と、そんな声がして加賀美と天道は飛びのいた。

このマンションは、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ