第三章
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「ですからそうした催しなりを行っても」
「参加しないのかい?」
「それは」
難しい顔になって返すアンリエッタだった。
「全員参加でしたら」
「参加するんだね」
「それなら」
こう難しい顔で言うのだった。食事中だが味あうことよりも何故か暗いものを見せている今の彼女だった。
そうした話から暫く後でバロアは外務省の面々にこう話した。
「大臣からの話でね」
「大臣から?」
「何と仰ってきたのですか?」
「うん、全員参加でね」
バロアはまずは参加条件から話す。
「健康の為に全員でジョギングをしようってね」
「ジョギングですか」
「それをですか」
「健康月間を設けようと仰ってるんだ」
大臣の思いつきとしてはよくある話だった。
「お昼休みの時間のある時にね」
「全員で走るんですか」
「そうするんですね」
「今の大臣は日課でランニングをしてるしね」
これは健康管理と共にアピールでもある。自分がこれだけ健康な政治家であり汗を流すことが好きな爽やかな人物であるということをである。
「そして我々にもね」
「健康であれと」
「その為にですか」
「そうだよ。確かに健康は大事だしね」
このことは言うまでもない。
「だから次官がここは全員参加にしようってことでね」
「それでなんですか」
「我々も」
「そう。では来月からはじまるよ」
話は早かった。
「全員参加で昼は走るよ。そして休日はテニスとかサッカーだよ」
「野球もあるんですか?」
「水泳とかも」
「とりあえず休日は好きなスポーツをすること」
フランスでも野球が行われる様になっている。だからここで野球の名前も出たのである。尚フランスで野球を広めたのは阪神の名ショートだった吉田義男である。
「そうも仰ってたよ」
「そうですか」
「何か本気っぽいですね」
「実際に大臣は本気だよ」
やるからにはという人物だというのだ。
「だから我々もやろう」
「はい、準備体操も欠かさずに」
「汗を流しましょう」
内心面倒臭いと思う者もいたが確かに健康は大事なので外務省の面々も大臣の提案に頷いた、そのうえで彼等はスポーツに励むことにした。
それで彼等は静かに仕事をするアンリエッタを見ても言った。
「ルクブルールさんも参加するんだよね」
「当たり前だろ、全員参加だぞ」
「それならやっぱりね」
「あの人も参加するよ」
それはもう当然だというのだ。
「ランニングも参加で」
「休日は何をするか」
「スタイルいいから水着似合うよ」
「テニスウェアもね」
こうした話も為されるのだった。
「ルクブルールさん見るのも
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