暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第5章:幽世と魔導師
第137話「手分け」
[10/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
その場に膝を付いた鵺を見て、このまま押し切れると二人は思う。

「油断せずに、畳みかけるよ!」

「うん……!」

 再び霊力を編み、術式を構築する。
 しかし、その瞬間………。











   ―――“痛かった”





「っ………!?」

 悲しみが乗った、言霊のような呪いが飛んできた。

「く、ぅ…?」

「何、今、の…!?」

 それは、心に突き刺さる精神攻撃。
 鵺であって鵺ではない“何者か”の声に、那美と久遠は膝を付く。
 あまりにも悲しく、あまりにも辛さを感じる声だったから。

「ダメ、これで、倒れたら…!」

「っ、那美…!」

 精神攻撃だけでなく、爪による攻撃も迫る。
 咄嗟に久遠が那美を突き飛ばすように動き、那美もその場から飛び退く。
 間一髪、鵺の攻撃を躱した。

「一体、何が……」

「分からない……でも、とても悲しい…」

 それは、かつて取り込んだ陰陽師の記憶。
 かつて鵺は、一人の陰陽師の力を取り込んだ。
 そして、取り込んだ陰陽師にとって“死をもたらした妖”となり、その記憶によって自らを強くしていた。

   ―――“届かなかった”

「っ、ぁ……!?」

 その悲しき“記憶”からの攻撃に、那美は動けなかった。
 その“記憶”からの声があまりにも辛く、哀しいものだったから。
 既に、那美は鵺のソレに呑み込まれそうになっていた。

「っ、させ、ない…!」

 久遠が必死に那美を守りつつ、応戦する。
 しかし、久遠もまた“記憶”の声に呑み込まれかけていた。

「(あれ……この声、どこかで…確か……)」

 声に呑み込まれ、徐々に意識を失っていく那美。
 そんな那美に、一つの声が響く。

『那美、聞こえるかしら?……那美?』

「……ぇ…」

 それは、一人の年下の知り合い。鈴の声だった。
 伝心によって、連絡を取ろうと鈴から繋げてきたのだ。
 そして、伝心は相手の精神状態を軽く感じ取る事もできる。

『那美!?どうしたの!?まさか……!』

「鈴……ちゃん……?」

『っ……間に合え、転移……!』

「(……そうだ、どこか聞いた事のある“声”だと思ったら…)」

「那美……!」

 久遠が横へと吹き飛ばされ、那美に爪が振り下ろされる。
 あわや切り裂かれるかと思った瞬間……。







     ―――リィン…





     ギィイン!!

「っ、間一髪…!」

 鈴の音が聞こえると同時に、振り下ろされた爪を一振りの刀が防ぐ。
 そこには、つい先ほどまで伝心で会話していた鈴の姿があった。

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ