第5章:幽世と魔導師
第137話「手分け」
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、那美と久遠は鳴き声の下へと向かった。
―――ヒョォオオオオン!
「っ、近い…!」
「那美、あそこ…!」
一際近くから聞こえた鳴き声を頼りに、声の主を見つける久遠。
那美も久遠と同じ方向を見て、ついに見つける。
「あれは……一体……!?」
そこにいたのは、大きな獣のような存在だった。
「虎?え、猿…?」
「……くぅ、わからない」
いくつかの動物が入り混じったかのようなその姿に、那美は困惑する。
その妖の名前は鵺。かつて平安京で猛威を振るった妖怪だ。
「っ!」
「那美…!」
「大丈夫、行くよ久遠!」
那美達に気づいた鵺は薙ぎ払うように爪を振るう。
すぐに戦闘態勢に入った那美はそれを躱し、久遠も武器を構える。
久遠の武器は優輝に創造魔法で作ってもらった薙刀だ。
御札に収納しており、持ち運びが楽になっている。
「……!」
「(強い…!他の妖とは全然違う!それも、今までの門の守護者よりも、ずっと…!)」
久遠の振るった薙刀が躱され、反撃の爪で弾かれるように後退する。
那美にも鵺は襲い掛かり、その度に那美は障壁を張りつつ攻撃を躱す。
「でも……!」
「くぅ……!!」
ピシャァアアアアン!!
しかし、侮るなかれ。
久遠のその力は、今では椿と葵でさえ本気で対応しなければならない程。
いくら実戦と言う違いがあるとは言え、久遠の強さは相当なものだ。
繰り出された雷は鵺の体表を焦がし、大きなダメージを与える事になる。
「っ、させない!」
―――“旋風地獄”
霊力を溜めたのを那美が察知し、即座に術で妨害する。
鵺の体を包むように風の刃が展開され、動きを阻害する。
「ヒョォオオオオオオン!!」
「くぅ…!間に、合っ、た……!」
―――“神鳴”
―――“三雷”
一際大きな雷と、三つの雷がぶつかり合った。
結局の所、那美の術は完全に妨害するに至らず、少し遅らせただけだった。
しかし、久遠にとってはそれでも充分で、放たれる術に対抗する術を用意できた。
「くぅぅぅ……!!」
「っ……!今の内に…!」
雷のぶつかり合いは拮抗し、久遠は踏ん張る。
その間に那美も霊力を練り、術式を起動させる。
「貫き、祓え!」
―――“神槍”
聖属性の霊力で編まれた槍が、鵺に降り注ぐ。
同時の攻撃に対処しきれなかった鵺は槍に貫かれ、態勢を崩す。
そのまま久遠の術も対応しきれずに、再び鵺は雷に焼かれた。
「よし、これで……!」
「押し、切れる…?」
若干、
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