第5章:幽世と魔導師
第137話「手分け」
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だろう。
「……だけど、それだけだ」
底は見えた。確かに、図体の大きさを生かした攻撃は脅威だ。
尾や牙、爪の攻撃はどれも殺傷能力が高い。
だけど、僕から言わせてもらえば“その程度”だ。
玉藻前のように霊術が得意と言う訳でもない。
図体が大きいだけでは、負ける要素はない。
「さて、悪いが……」
ドンッ!
「グウゥッ!?」
「さっさと決めさせてもらうぞ。後がつっかえているんだ」
爪の一撃を躱し、その勢いのまま霊力を込めた掌底を叩き込む。
念のため、霊術の類は警戒し続けている。
それを踏まえても、負ける気はしないがな……!
=椿side=
「ふっ!」
静岡県のとある場所。少し昔は駿河と言われていた場所で、私は行動していた。
ここは、早めに処理しておかないとダメだもの。
「次から次へと…!」
矢を射る。現れる妖は全て蜘蛛の妖だ。
街にも被害が出ており、蜘蛛の糸塗れになっている。
酷い類では、扉などに糸が張られ、塞がれてしまっている。
「邪魔よ!」
……でも、それでも“前回”よりはマシと言えてしまうわ。
“前回”……つまり、江戸の時。
私は“あの子”と共にこの駿河…蟲毒の社と言われる場所に来た事がある。
この地にある幽世の門は、土蜘蛛を生み出す。
その土蜘蛛によって、蟲毒の社は変質してしまっていた。
……今の街と違って、全滅していた。
「………」
それに比べれば、マシと言えるわ。
「……さすがに、街並みが変わっているから探し辛いわね」
当然だけど、昔と今では建物とかが完全に違う。
そのため、門の位置も分からなくなっている。
「キシャァッ!」
「甘いわ」
物陰から襲い掛かってきた妖を炎の霊術で焼く。
一人とはいえ、この程度の妖で苦戦する事はない。
前回来た当時と比べて、私は遥かに強くなっているのだから。
「……糸が多い。…こっちね」
どうやら、門に近づくにつれて蜘蛛の糸も多くなっているようね。
前回もそうだったから、間違いないわ。
「……もう」
忘れてはならない事がある。それは民間人の救助。
私がすぐに手が届く範囲であれば、助けないとね。
……私個人としても、見捨てるのは後味悪いし。
「弓術士としての本領を見せようかしら」
三階建ての家を見つけ、その屋根から街を見下ろす。
そして、弓を引き絞り……。
「それ以上、手は出させないわよ」
射る、射る、射る。
私は、弓術士として名に恥じない腕を持っていると自負している
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